毎日でも飲みたい!「幸せホルモン」がどんどん増える飲み物は?管理栄養士が解説


日々心穏やかに、満ち足りた気持ちで過ごせていますか?焦りや不安、ストレスを感じることが多い人は、心の安定に作用する「幸せホルモン」を意識するとよいかもしれません。この記事では、幸せホルモンを増やす飲み物について管理栄養士が解説します。コンビニやスーパーで手軽に購入できる飲み物なので、ぜひ生活に取り入れてくださいね。
幸せホルモンってなに?

「幸せホルモン」とは、脳内で分泌される神経伝達物質のひとつです。神経伝達物質には数多くの種類があり、脳内で情報を伝える役割を担っています。そのなかには人の感情に影響を与えるものもあり、とくに喜びや楽しさ、やる気にかかわる神経伝達物質が幸せホルモンと呼ばれています。
代表的な幸せホルモンは、次の3つです。
・セロトニン
・オキシトシン
・ドーパミン
セロトニンは、ほかの神経伝達物質の分泌をコントロールし、脳の興奮を抑えて心を安定させる働きがあります。セロトニンの分泌が低下すると、不安や恐怖を感じやすくなり、うつ病やパニック症などを引き起こしやすくなると考えられています。
オキシトシンとは、ストレスの緩和、信頼感や共感の高まりに作用する物質です。かつては妊娠や出産にともなって分泌されるホルモンと考えられていましたが、現在は性別や年齢に関係なく、心に関わる物質とされています。
ドーパミンは、快楽や意欲に影響を与える神経伝達物質です。運動の調整にも関わり、ドーパミンの分泌が不足するとパーキンソン病を発症しやすくなると考えられています。
オキシトシンが分泌されると、セロトニンやドーパミンの分泌が促進されるなど、これらの幸せホルモンは相互に作用しています。これらの幸せホルモンが適切に分泌されると、心が安定し、幸せを感じやすくなるでしょう。
セロトニンを増やす鍵は「トリプトファン」

セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンは体内で合成できない必須アミノ酸に分類されるため、食べ物から摂取する必要があります。
トリプトファンを多く含む食品は、肉や魚、大豆製品、牛乳、乳製品などです。これらの食品を食事に取り入れることで、セロトニンの分泌増加が期待できます。さらに手軽に摂取するなら、飲み物を活用するのがおすすめです。
トリプトファンは豆乳や牛乳に含まれています。ただし、砂糖などが加えられている調整豆乳はトリプトファン含有量が相対的にやや少なく、低脂肪乳は乳脂肪を取り除いている分、トリプトファン含有量が多くなります。
とはいえ大きな差はないので、ダイエット中は無調製豆乳や低脂肪乳を選ぶなど、自身の好みで取り入れるとよいでしょう。
「チロシン」の摂取でドーパミンが作られる

豆乳や牛乳の摂取は、ドーパミンの分泌増加にも役立ちます。ドーパミンはアミノ酸のチロシンから作られます。チロシンは体内でほかのアミノ酸から合成されますが、食べ物からの摂取も可能です。
チロシンはたけのこ、肉、大豆製品、牛乳、乳製品に多く含まれています。したがって、豆乳や牛乳を飲むと、トリプトファンだけでなくチロシンも摂取できます。豆乳や牛乳なら、コンビニやスーパーで購入できますね。朝食時に飲んだり間食代わりにしたりと、生活スタイルに合わせて取り入れてみましょう。
また幸せホルモンは、日々の行動によっても分泌量を増やせます。セロトニンは日光浴や適度な運動、オキシトシンは家族や親しい友人、ペットとの触れ合い、ドーパミンは小さな目標の達成で分泌量が増えると考えられています。日々の習慣を見直しながら、豆乳や牛乳も活用して、心穏やかな毎日を目指しましょう。
【参考文献】
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「セロトニン」
独立行政法人 農畜産業振興機構「タンパク質と脳の栄養〜うつ病とタンパク摂取〜」
二神弘子、藤原宏子「オキシトシンと心身の健康」
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