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ZEN drive

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
JAPAN MOBILITY SHOW 2023で展示されたZEN driveの車両

ZEN drive(ゼン ドライブ)は、福井県永平寺町を営業運行する自動運転車である。町内の遊歩道である「永平寺参ろーど」の一部区間を走行する。第三セクターである「まちづくり株式会社ZENコネクト」が運行を担っており、2023年5月には公道におけるレベル4運転を、日本でははじめて認可された。

歴史

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営業開始以前の実証実験

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Zen drive の荒谷事務所

「永平寺参ろーど」は、2002年に廃線となった京福電気鉄道永平寺線の跡地を活用し、2014年に整備された遊歩道である[1]えちぜん鉄道永平寺口駅から永平寺の近くまで伸びるこの遊歩道は[2]、この歩道で開催されたウォーキング大会に県職員が参加したことを契機として[3]2017年3月14日産業技術総合研究所が主導した自動運転プロジェクトの実験場所のひとつとして採択された[2]

同年10月3日から11月17日にかけて、福井県および永平寺町とパナソニックの共同プロジェクトとして[4]、同遊歩道のうち1.4 km区間を利用した自動走行実証実験がおこなわれた[5][6]2018年11月19日には産業技術総合研究所経済産業省国土交通省により遠隔型自動運転の実験がはじまった。この実験には、ヤマハ発動機ゴルフカートをベースとした、遠隔ドライバーが監視・操作する最高時速12 km/h・電磁誘導線方式の無人車両が用いられた[7]。公道での複数車両を遠隔操作する同実証実験は、世界でもはじめての試みであった[8]。産業技術総合研究所により、2019年4月26日から5月24日までおこなわれた実証実験では10台の自動運転車が用いられ、 永平寺口駅から永平寺門前までの6km区間について地元大学生1人が同乗する4~6台の車両が往復し、無料で地元住民や観光客を運んだ[9]。同年6月26日から12月20日までおこなわれた実証実験は公道実験の期間としては国内最長であり[10]、10月末までに参拝客ら2400人が乗車した[11]

営業開始以降

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荒谷停留所・志比停留所 荒谷停留所・志比停留所
荒谷停留所・志比停留所

2020年12月12日より、遊歩道中の2 km区間における営業がはじまった[12]。「ZEN drive」の名称はこのとき、公募により決定されたものであり[13][14]、永平寺町公式サイトによれば、「自動走行という先端技術が、人に寄り添うものであり、永平寺町に根差した文化と、自動走行という文明が調和し、共生できる社会になる」という期待が込められた命名である[14]。第三セクターである「まちづくり株式会社ZENコネクト(以下、ZENコネクト)」が運行を担った[13]

同車両は自動運転の定義におけるレベル2運転に相当したが、3月より監視員を設けないレベル3運転がはじまった[12][15]2023年5月28日より、緊急時の遠隔操作もともなわないレベル4運転が開始した[16]。公道におけるレベル4運転の認可は、日本でははじめてのことであった[17]

同年10月29日、車両の1台が停めてあった子供用自転車との接触事故を起こした[18]。けが人はいなかったものの、事故原因が究明され、十分な安全対策が確認できるまで運行は中止されることとなった[18][19]11月10日に調査結果が公表され、無人の自転車を車載カメラが自転車であると認識できず、ブレーキが働かなかったことが原因であると決定づけられた[20]。2024年3月16日より運行を再開した[21]。ZENコネクトは、自動運転事業をはじめた2022年度(6期)には赤字となったが、2023年度(7期)には黒字転換した[22]

運行

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土・日・祝日の10時から12時、13時から15時に、荒谷停留所から、永平寺門前である志比停留所までの2 kmを、およそ10分で運行する。平日の運行はない[23]。12月から2月は、路面の凍結や積雪を考慮し、運休となる[14]。ヤマハ発動機株式会社の電動カートである、「AR-07:グリーンスローモビリティ」をベースとした、4台の7人乗り普通自動車が走行している。路面に埋設された、電磁誘導線とRFIDによって運行する[17]。運賃は大人100円・中学生以下50円・未就学児無料[23]

出典

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  1. ^ 「廃線たどる禅の道 京福永平寺線跡、遊歩道「参ろーど」に /福井県」『朝日新聞』2014年6月3日、福井全県・1地方。
  2. ^ a b 「産総研の車自動走行実験、輪島市・永平寺町で」『日本経済新聞』2017年3月15日、地方経済面 北陸 8ページ。
  3. ^ 「福井県永平寺町長河合永充氏――車の自動走行、遊歩道で実験、地域・観光の足、見据え(トップに聞く)」『日本経済新聞』2019年11月14日、地方経済面 北陸 8ページ。
  4. ^ 「パナソニック、福井県・永平寺町と自動運転車両走行の実証実験を「永平寺参ろーど」で実施」『日経速報ニュースアーカイブ』2017年11月13日。
  5. ^ 「自動運転EV、地域の足に、パナソニック、福井の公道で実験、小型端末で呼び出し」『日経産業新聞』2017年11月14日。
  6. ^ 福井県、永平寺町とパナソニックが自動運転車両走行の実証実験を「永平寺参(まい)ろーど」で実施 | 車載関連 | 製品・サービス | プレスリリース”. Panasonic Newsroom Japan : パナソニック ニュースルーム ジャパン. 2023年10月23日閲覧。
  7. ^ 「1人で2台の車両を遠隔自動運転実験 永平寺町で」『日経速報ニュースアーカイブ』2018年11月19日。
  8. ^ 「福井で世界初の公道実験、自動運転2台、遠隔監視1人、産総研など、永平寺町で開始」『日本経済新聞』2018年11月20日、地方経済面 北陸 8ページ。
  9. ^ 「福井・永平寺町、自動運転を実験、産総研、観光客ら送迎」『日本経済新聞』2019年4月26日、地方経済面 北陸 8ページ。
  10. ^ 「福井県永平寺町など、公道で自動運転、6カ月間実験」『日本経済新聞』2019年6月26日、地方経済面 北陸 8ページ。
  11. ^ 「寺社、訪日客にAIで案内、気多大社・永平寺、外国語で自動応答、歴史や魅力、深く伝える」『日本経済新聞』2019年12月7日、地方経済面 北陸 8ページ。
  12. ^ a b 「自動運転、3月にも「レベル3」営業運行へ」『日経速報ニュースアーカイブ』2021年1月4日。
  13. ^ a b 「自動ドライブ、有料運行開始 永平寺参ろーど、観光客・住民の足に /福井県」『朝日新聞』2020年12月23日、朝刊 福井全県・1地方。
  14. ^ a b c 自動運転「ZEN drive」 | 永平寺町”. 永平寺町ホームページ. 永平寺町. 2023年12月3日閲覧。
  15. ^ 「自動運転「レベル4」へ指針、安全確保、事業者らに義務、22年度までに導入、警察庁が報告書」『日本経済新聞』2021年4月2日、朝刊 38ページ。
  16. ^ 「スイスイ走る、夢の自動運転車 福井・永平寺の公道で営業運行、記者乗車 /石川県」『朝日新聞』2023年5月29日、朝刊 石川全県・1地方。
  17. ^ a b 国内初!自動運転車によるレベル4での運行許可を取得しました (METI/経済産業省)”. www.meti.go.jp. 2023年10月23日閲覧。
  18. ^ a b 自動運転車両が自転車と接触事故 けが人なし 運行中止に【福井・永平寺町】」『福井テレビ』2023年10月30日。2023年11月5日閲覧。
  19. ^ 永平寺町ZENドライブ(自動運転)運行に伴う接触事故について”. 永平寺町. 2023年11月5日閲覧。
  20. ^ 自動運転車、人が乗っていない自転車を「自転車」と認識できず 接触事故受け調査、福井県永平寺町 | 社会 | 福井のニュース”. 福井新聞ONLINE. 2023年12月3日閲覧。
  21. ^ Town, Eiheiji. “レベル4自動運転ZEN drive運行再開について | 永平寺町”. 永平寺町ホームページ. 2024年4月16日閲覧。
  22. ^ 自動運転ラボ編集部 (2024年8月12日). “自動運転レベル4の”日本初”運行企業、「たった1期」で赤字解消 ZENコネクト第7期決算 | 自動運転ラボ”. 2024年10月1日閲覧。
  23. ^ a b 自動走行”. まちづくり株式会社ZENコネクト (2020年6月22日). 2023年10月23日閲覧。

外部リンク

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