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能郷白山

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
能郷白山
根尾谷上空から望む能郷白山
左奥(磯倉)・中央奥(能郷白山)・中央(前山)・手前(能郷谷)
標高 1,617.33[1] m
所在地 日本の旗 日本
岐阜県本巣市揖斐郡揖斐川町
福井県大野市
位置 北緯35度45分45秒 東経136度30分51秒 / 北緯35.76250度 東経136.51417度 / 35.76250; 136.51417座標: 北緯35度45分45秒 東経136度30分51秒 / 北緯35.76250度 東経136.51417度 / 35.76250; 136.51417[2]
山系 両白山地(越美山地)
初登頂 (718年泰澄上人が開山)
能郷白山の位置(日本内)
能郷白山
能郷白山の位置
プロジェクト 山
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能郷白山(のうごうはくさん)は、岐阜県本巣市揖斐郡揖斐川町福井県大野市にまたがり、両白山地に属する標高の1,617 mである。岐阜・福井両県境最高峰[3]

概要

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周辺は豪雪地帯であり、奥美濃の最高峰である[4]この山は、濃尾平野から望む一番遅くまで雪を抱いた山である[5][6]深田久弥は日本百名山選定の際に荒島岳と能郷白山との二つから前者を選んだ[7][8]。後者のこの山は、深田クラブにより日本二百名山に選定されている[9]ぎふ百山のひとつに選定されている[10]。別名が、白山、能郷山、権現山[4]

環境

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ノウゴウイチゴ

岐阜県側山域(656.45 ha)は亜高山性植物およびブナのすぐれた天然林のため[11]、「能郷白山自然環境保全地域」に指定されている[12][13]。山体は花崗閃緑岩などで構成される[4][14]ノウゴウイチゴは、日本で最初にこの山で発見されたことによる[15]。かつては山全体がブナやミズナラなどの自然林で覆われていたが、戦後能郷谷一帯でほとんどが伐採された[4]。山頂には一等三角点があり[注釈 1][1]熊笹が生い茂っている。山の上部にはニッコウキスゲなどの花が多い山である。周辺では、イワウチワオオバキスミレカタクリ[16]キクザキイチゲキジムシロコバイケイソウ[16]ザゼンソウサラサドウダンサンカヨウ[16]シモツケソウ[16]ツクバネソウニッコウキスゲ[16]ヒメイチゲムラサキヤシオツツジなどの多くの花々が見られる[17]。周辺の山域に生息するカンムリレンズガイ中国語: Otesiopsis kanumuriyamensisOtesiopsis kanumuriyamensis)は、岐阜県のレッドリスト準絶滅危惧の指定を受けている[18]

白山信仰

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山頂部にあった能郷白山神社奥宮(現存せず)

加賀白山を開いた泰澄上人が、加賀白山の山頂から見渡したときにこの山が目に留まり白山権現の分祀を思いつき、開山し祠を祀ったと伝えられている[3]。加賀白山とともに白山信仰の山である[14][19]。かつて山頂には能郷白山神社奥宮の祠があったが、2018年平成30年)の台風で倒壊したため現存していない[8]。能郷谷の麓(能郷)には、能楽堂のある白山神社(白山権現里宮)がある。毎年4月13日例祭能郷の能・狂言奉納されている[5]

歴史

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登山ルート

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山頂の一等三角点、山頂部にはクマザサなどが生い茂る

山頂に至る北側と南側からの二つの登山道が開設されている。岐阜県警察山岳警備隊は、能郷白山を管轄する能郷白山方面隊が編成されている[21]

  • 温見峠からのルート[22]
国道157号の岐阜県と福井県との県境である温見峠から、稜線伝いに登る最短のルート[3][15][23]。温見峠付近には5台ほどの駐車スペースが設けられており[16]、1492mのピーク(コロンブスピークの別名がある)[8]を経て山頂に至るコースとなっている[3][16]。登山口から山頂までは約2時間の行程となる[8][24]。途中にはロープが設置された場所もある[3][8]
  • 能郷谷からのルート
岐阜県本巣市の根尾川支流の能郷谷から、前山の山腹を経由する健脚向きのルート[6]。麓の白山権現里宮の横には、登山届ボックスが設置されている[23]

地理

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両白山地北部の加越山地の加賀白山に対して、南部の越美山地で能郷谷の麓に能郷集落があるため能郷白山と呼ばれている[19]。山名は能郷谷の奥にそびえることに由来する[19]両白山地屏風山へつながる鞍部には国道157号の温見峠があり、太平洋と日本海の分水嶺となっている。山頂からは、伊吹山白山恵那山北アルプスの山々、濃尾平野伊勢湾も眺めることができる[19]

周辺の主な山

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伊吹山から望む能郷白山(左奥)周辺の山並み、中央奥は白山

山頂から南西には、標高1,541mの磯倉と呼ばれる三角錐の山容の山がある。南西には徳山湖がある。

山容 山名 標高
(m)[1][2]
三角点等級
基準点名[1]
能郷白山からの
方角と距離(km)
備考
白山 2,702.17  一等
「白山」
北東 49.4 日本百名山
荒島岳 1,523.49  一等
「荒島岳」
北 20.6 日本百名山
屏風山 1,354.20  二等
「屏風山」
東 10.9
冠山 1,256.60  三等
「冠山」
西 9.7 日本三百名山
姥ヶ岳 1,453.62  二等
「小沢」
北 5.3
能郷白山 1,617.33  一等
「能郷白山」
0 越美山地の最高峰
日本二百名山
磯倉 1,541 南 1.5 踏み跡不明瞭[23]
徳山ダム 約410m 南 10.8 日本の最大規模のダム
小津権現山 1,157.79  二等
「小津」
南 18.4 小津三山の南端

源流の河川

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花房山から望む徳山湖

以下が主な源流の河川で、木曽川水系支流は太平洋へ、九頭竜川水系の支流は日本海へ流れる[25]

周辺の峠

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交通・アクセス

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温見峠付近の登山口までの公共交通機関はなく、自動車またはタクシーがアクセス手段となる[16]。また、国道157号はいわゆる酷道ですれ違いが困難な区間もある[22]

能郷白山の風景

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能郷白山周辺の風景

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脚注

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注釈

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  1. ^ 一等三角点百名山のひとつに選定されている。

出典

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  1. ^ a b c d 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年12月6日閲覧。
  2. ^ a b 日本の主な山岳標高(岐阜県)”. 国土地理院. 2012年12月6日閲覧。
  3. ^ a b c d e 柚本 2012, p. 94.
  4. ^ a b c d 新日本山岳誌 (2005)、1207頁
  5. ^ a b 日本の山1000 (1992)、523頁
  6. ^ a b 名古屋周辺の山 (2010)、258-259頁
  7. ^ 日本百名山 (1982)、326頁
  8. ^ a b c d e f g “「幻の百名山」の能郷白山 1617mの眺望、真っ青な空と眼下に広がる錦秋 福井県大野市・岐阜県境”. 福井新聞ONLINE. (2021年11月7日). オリジナルの2021年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211107232309/https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1432374 2023年3月23日閲覧。 
  9. ^ 日本二百名山 (1987)、24頁
  10. ^ ぎふ百山 (1987)[要ページ番号]
  11. ^ 柚本 2012, p. 97.
  12. ^ a b 自然環境保全地域及び特別保全地域等の指定(岐阜県の条例)”. 岐阜県. 2010年12月6日閲覧。
  13. ^ 自然環境保全地域一覧”. 岐阜県. 2012年12月10日閲覧。
  14. ^ a b c d コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁
  15. ^ a b c 白山と北陸の山 (2000)、209-211頁
  16. ^ a b c d e f g h i j k 柚本 2012, p. 95.
  17. ^ 福井県の山 (2010)、60-61頁
  18. ^ カンムリレンズガイ」『岐阜県レッドデータブック  (動物篇)』(改訂版)岐阜県、2010年8月http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/shizenhogo/c11265/kanmurirenzugai.html2018年8月21日閲覧 
  19. ^ a b c d “(登ってきました)能郷白山、濃尾平野見おろす「盟主」”. 朝日新聞デジタル. (2019年11月8日). オリジナルの2019年11月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191108221256/https://www.asahi.com/articles/ASMBX7G23MBXOLZU001.html 2023年3月23日閲覧。 
  20. ^ 日本三百名山 (1997)、238頁
  21. ^ “県警山岳警備隊に初の女性 過酷訓練「女性だからできないことはない」”. 岐阜新聞Web. (2021年9月23日). オリジナルの2021年12月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211227023124/https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/16450 2023年3月23日閲覧。 
  22. ^ a b 「落ちたら死ぬ」酷道157号で見たものは…「もう勘弁してくれ!」”. withnews (2017年9月1日). 2023年3月23日閲覧。
  23. ^ a b c 岐阜県の山 (2009)、102頁
  24. ^ 柚本 2012, p. 96.
  25. ^ 山と高原地図 (2012)[要ページ番号]

参考文献

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  • 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2009年12月。ISBN 978-4-635-02370-2 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月。ISBN 4620605247 
  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 『白山 荒島岳』昭文社山と高原地図2012年版〉、2012年3月16日。ISBN 978-4398758422 
  • 林正一『白山と北陸の山』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド21〉、2000年8月。ISBN 4-635-01321-9 
  • 深田久弥『日本百名山』朝日新聞出版、1982年7月。ISBN 4-02-260871-4 
  • 深田クラブ『日本二百名山』昭文社、1987年。ISBN 4398220011 
  • 宮本数男『改訂版 福井県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2010年3月15日。ISBN 978-4-635-02369-6 
  • 与呉日出夫『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社、2010年7月。ISBN 9784635180177 
  • 柚本寿二『わくわく登る 福井の50山』北國新聞社、2012年7月14日。ISBN 978-4-8330-1882-1 

関連項目

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外部リンク

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