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品種

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

品種(ひんしゅ)とは、生物以下の生物集団の単位である。

日本語では、異なる意味を持つものが混在して「品種」と呼ばれうる。以下のものが挙げられる。

  • 植物の品種
    • 植物学における品種
    • 栽培品種(園芸品種)
    • 法律用語としての植物品種
  • 動物の品種(血統)(breed)

植物の品種

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植物学における品種

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品種(ひんしゅ、ラテン語: forma フォールマ、英語: form フォーム、省略形: f.[1])は国際藻類・菌類・植物命名規約(ICN)によって定められた、より下位の分類階級の一つ、および、その階級に属するタクソンである[2]。専ら植物学のみで使われる。

自然(野生)状態で、形態などにおいてははっきりと区別できるものの、同じ地域の同種個体群とは生殖的に隔離されていない個体群を指す。多くの顕花植物に見られる白花品などはこのように扱われる。

ICNによる品種分類群の学名の例

  • Rosa roxburghii f. normalis (種より下位の階級のため、二名法による種名が必要。接続語"f."が品種階級を表し、その直後が品種の形容語[3])

栽培品種

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栽培品種(英語: cultivar、園芸品種とも。また、単に品種と表記されることも多い)は、人にとって有用な植物に価値を付けて利用する際に用いる分類体系で、他のものと識別できる特性を安定して有し、かつ、その特性を保持したまま増殖可能な植物の集合のことで、植物学における分類階級の品種やタクソンとは全く異なる分類体系である。遺伝的に均一か否かは問わない。

栽培品種の命名法は国際栽培植物命名規約英語版(ICNCP)で定められている。 特定の種にとどまらず、雑種接木キメラにも栽培品種名を付けることができる[4][5]

ICNCPによる栽培品種名の例[注釈 1][6]

  • CyclamenArtemis’ (最小限の表記:ICNによる名とICNCPによる栽培品種小名[注釈 2]の組み合わせ、栽培品種小名は ‘ ’ で囲む)
  • Cyclamen hederifoliumArtemis’ (ICNによる種名とICNCPによる栽培品種小名の組み合わせ)
  • Cyclamen hederifolium var. hederifolium f. albiflorum (Bowles’s Apollo Group) ‘Artemis’ (詳しい表記:ICNによる種より下位の分類群名とICNCPによる栽培品種群英語版名を記載)

法律用語としての植物品種

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植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)における植物品種(英語: Plant variety)は分類学上の品種や変種[注釈 3]ではなく、栽培品種を法的に定義した語である[7]。植物品種は次のように定義される。

「品種」とは,既に知られている最下位の植物学上の 1 の分類群に属する植物の集合であって,育成者権の付与のための条件をすべて満たしているか否かを問わず,遺伝子型又はその組合せによって生ずる特性の表現によって特定することができ,これらの特性のうち 1 以上の特性の表現により他のすべての植物の集合と区別することができ,かつ変化なく増殖させることが可能であるという点で 1 の単位とみなすことができるものをいう。 — 植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約 1991年法)・日本語訳(特許庁)

動物の品種

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varietyの訳として

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の中で、他の個体と区別できる、人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており、それにより他と区別できる、もしくは産業上区別する意味の認められる個体群。クローン個体群も含まれる。品種内で遺伝的に斉一か雑ぱくかは問われない。農業畜産も含む)上のハイブリッド品種など、ある品種同士の子孫が親と同じ品種とみなされないことも多い。

一般社会で使う場合、種と混同したりする例もある。たとえばシェパードチワワは種ではなくの品種である。植物動物キノコ)で認められる。細菌酵母カビなどでは系統[注釈 4]と言われ、品種とはいわない。

ただし「variety」を「変種」とした場合は、動物分類学においては、種内のあらゆる変異型をさす多義的な概念。色彩多型・季節多型・栽培生物・飼養生物・亜種および非遺伝的な変異などがこれに含まれる。

脚注

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注釈

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  1. ^ すべて同じ栽培品種を表すが、利用者に伝わる情報量が異なる。あくまで一例で、その他の表記も可能である。
  2. ^ 栽培品種を形容する語句
  3. ^ 英語: varietyのため紛らわしい。
  4. ^ : raceline

出典

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  1. ^ Turland 2018, ARTICLE 5.
  2. ^ 国際動物命名規約国際原核生物命名規約では認められていない。
  3. ^ Turland 2018, ARTICLE 24.
  4. ^ Brickell 2016, Art. 1.4.
  5. ^ Brickell 2016, Art. 2.11.
  6. ^ Brickell 2016, Recommendation 21A.1.
  7. ^ Brickell 2016, Art. 2 Nt. 4.

参考文献

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  • Turland, N. J.; Wiersema, J. H.; Barrie, F. R.; Greuter, W.; Hawksworth, D. L.; Herendeen, P. S.; Knapp, S.; Kusber, W.-H. et al. (2018) (英語). International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code) adopted by the Nineteenth International Botanical Congress Shenzhen, China, July 2017. Regnum Vegetabile. 159. Glashütten: Koeltz Botanical Books. doi:10.12705/Code.2018. ISBN 9783946583165. OCLC 1043224136. https://www.iapt-taxon.org/nomen/main.php 
  • Brickell, C.D.; Alexander, C.; Cubey, J.J. et al., eds (2016-6). “International Code of Nomenclature for Cultivated Plants” (英語) (PDF). Scripta Horticulturae (International Society of Horticultural Science) 18. ISBN 978-94-6261-116-0. ISSN 1813-9205. https://www.ishs.org/sites/default/files/static/ScriptaHorticulturae_18.pdf. 

関連項目

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