イグナシオ・シラク
フアン・イグナシオ・シラク・サストゥライン Juan Ignacio Cirac Sasturain | |
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生誕 |
1965年10月11日(59歳) スペイン バルセロナ県マンレザ |
居住 | ドイツ |
国籍 | スペイン |
研究分野 | 物理学者 |
研究機関 | マックスプランク量子光学研究所 |
出身校 | マドリード・コンプルテンセ大学 |
博士論文 | Interaction of two-level atoms with non-classical states of light[1] (1991) |
博士課程 指導教員 | Luis Lorenzo Sanchez Soto |
主な指導学生 |
Frank Verstraete Guifre Vidal |
主な業績 |
イオントラップ型量子コンピュータ 量子ネットワーク w:W state w:Tensor network states |
主な受賞歴 |
アストゥリアス皇太子賞 (2006) BBVA Foundation Frontiers of Knowledge Award (2008) ベンジャミン・フランクリン・メダル (2010) ウルフ賞物理学部門 (2013) マックス・プランク・メダル (2018) |
プロジェクト:人物伝 |
イグナシオ・シラクことフアン・イグナシオ・シラク・サストゥライン(Juan Ignacio Cirac Sasturain、1965年10月11日 - )は、スペインの物理学者である。量子コンピュータ及び量子情報理論のパイオニアの1人である。
経歴
[編集]1988年にマドリード・コンプルテンセ大学を卒業し、コロラド大学ボルダー校宇宙物理学複合研究所のペーター・ツォラーの下でポスドク研究を行うため、アメリカ合衆国に移住した。1991年から1996年まで、カスティーリャ=ラ・マンチャ大学で物理学を教えた[2]。
1996年、インスブルックにある理論物理学研究所の教授となり、2001年からはガーヒング・バイ・ミュンヘンにあるマックス・プランク量子光学研究所で理論部門を率いた。同時に、ミュンヘン工科大学の名誉教授に指名された。また、設立された2002年から、バルセロナのInstitute of Photonic Sciencesで特別招聘教授及びリサーチアドバイザを務めている。ハーバード大学、ミュンヘン工科大学、ハンブルク大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ハノーファー大学、ブリストル大学、パリ大学、サクレー研究所、高等師範学校、マサチューセッツ工科大学等でも研究を行っている[3]。
研究領域は、量子光学、量子情報理論、量子多体物理学等である。彼の理論に基づいて、量子コンピュータが情報科学に革新を起こし、より効率的で安全な情報通信が可能になると期待される。ペーター・ツォラーとのイオントラップ型量子コンピュータに関する共同研究は、実験的量子コンピュータの可能性を開き、光学格子に関する共同研究は量子シミュレーションの分野を飛躍させた。また、量子情報理論、縮退量子気体、量子光学、くりこみ群等の分野でも独創性に富んだ貢献を行っている[4]。2017年時点で、ほとんどが著名な学術誌への440を超える論文を発表しており[5]、この分野で最も引用の多い著者の1人となっている[6][7]。ノーベル物理学賞の受賞候補の1人とされている[8]。
受賞等
[編集]2006年のアストゥリアス皇太子賞学術・技術研究部門[3]、2008年のBBVA Foundation Frontiers of Knowledge Award基礎科学部門[9]、2009年のトムソン・ロイター引用栄誉賞、2010年のベンジャミン・フランクリン・メダル物理学部門等、多数の賞を受賞している。2013年には、ペーター・ツォラーとともに、ウルフ賞物理学部門を受賞した[10][11]。2018年にはマックス・プランク・メダルとw:Micius Quantum Prizeも受賞した[12]。
2003年には、アメリカ物理学会のフェローに選ばれた[13]。
出典
[編集]- ^ Original in Spanish: Interaccion de atomos de dos niveles con estados no clasicos de luz, cf. “UCM Tesis”. Library, Universidad Complutense de Madrid. 2018年1月30日閲覧。
- ^ Academy of Sciences Leopoldina: “Curriculum Vitae”. leopoldina.org. 2018年1月21日閲覧。
- ^ a b “Juan Ignacio Cirac: Prince of Asturias Award for Technical & Scientific Research 2006”. fpa.es. Fundacion Princesa de Asturias. 2018年1月21日閲覧。
- ^ Leopoldina German Academy of Sciences: “Member's Profile”. leopoldina.org. 2018年1月21日閲覧。
- ^ “Resume - Juan Ignacio Cirac”. MPI for Quantum Optics. 2018年1月21日閲覧。
- ^ “2258 Highly Cited Researchers (h>100) according to their Google Scholar Citations public profiles”. webometrics.info. 2018年1月21日閲覧。 (Cirac is no. 592 on the list)
- ^ “2017 Highly Cited Researchers”. clarivate.com. 2018年1月21日閲覧。
- ^ https://physicsworld.com/a/nobel-prize-sizzle-building-excitement-in-the-run-up-to-the-physics-award/
- ^ “Ignacio Cirac, Frontiers of Knowledge Laureate”. Fundacion BBVA. 2020年2月9日閲覧。
- ^ “Prof. Juan Ignacio Cirac Winner of Wolf Prize in Physics - 2013”. 2018年1月21日閲覧。
- ^ Olivia Meyer-Streng. “Prof. Ignacio Cirac receives Max-Planck Medal from the German Physical Society”. mpq.mpg.de. 2018年1月21日閲覧。
- ^ Zhu Lixin (2019年4月28日). “Chinese prize for quantum research announced”. China Daily. 2020年2月9日閲覧。
- ^ “APS Fellow Archive”. APS. 15 September 2020閲覧。