あなたを抱きしめる日まで
あなたを抱きしめる日まで | |
---|---|
Philomena | |
監督 | スティーヴン・フリアーズ |
脚本 |
スティーヴ・クーガン ジェフ・ポープ |
原作 |
マーティン・シックススミス 『The Lost Child of Philomena Lee』 |
製作 |
スティーヴ・クーガン トレイシー・シーウォード ガブリエル・ターナ |
製作総指揮 |
フランソワ・イヴェルネル クリスティーン・ランガン キャメロン・マクラッケン ヘンリー・ノーマル |
出演者 |
ジュディ・デンチ スティーヴ・クーガン |
音楽 | アレクサンドル・デスプラ |
撮影 | ロビー・ライアン |
編集 | ヴァレリオ・ボネッリ |
製作会社 |
BBCフィルムズ ベビー・カウ・プロダクションズ 英国映画協会 Magnolia Mae Films パテ |
配給 |
20世紀フォックス ファントム・フィルム |
公開 |
2013年8月31日(VIFF) 2013年11月1日 2014年3月15日 |
上映時間 | 98分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 フランス |
言語 | 英語 |
製作費 | $12,000,000[1] |
興行収入 | $100,129,872[1] |
配給収入 | 2億円[2] |
『あなたを抱きしめる日まで』(あなたをだきしめるひまで、Philomena)は、2013年のイギリスのドラマ映画。監督はスティーヴン・フリアーズ、出演はジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンなど。
概要
[編集]10代で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離された女性フィロミナ・リーの実話[3]を綴ったマーティン・シックススミスのノンフィクション本『The Lost Child of Philomena Lee』を原作としている。
第70回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映され[4][5]、クィア獅子賞を受賞。スティーヴ・クーガンとジェフ・ポープが金オゼッラ賞(脚本賞)を獲得した[6]。また、第86回アカデミー賞と第67回英国アカデミー賞でそれぞれ4部門にノミネートされ、英国で脚色賞を受賞[3]した。
ストーリー
[編集]フィロミナ・リーは若かりし頃、婚前交渉で妊娠したことがあり、カトリックの厳しい戒律により修道院に収容された。フィロミナの息子はアンソニーと言い、修道院で定期的に会う事はできたが、ある日アンソニーはとある家庭の養子となり以後消息が途絶える。
そうして50年の年月が過ぎたが、フィロミナは常にアンソニーの事を気にかけ、娘のジェーンにアンソニーの存在を告白する。ジェーンは偶然にもマーティン・シックススミスと言うジャーナリストと知り合い、母の息子について本を書かないかと持ちかけてマーティンはフィロミナとともに実の息子を探す旅に出る。フィロミナ達は修道院に行くが、アンソニーがどの家庭に養子になったかの記録は火事で燃えてしまい残っていないという。
何かを隠蔽していると感じたマーティンは修道院近くのバーで聞き込み調査をすると、バーの店員によれば、修道院ではアンソニーのような子供を、金銭と引き換えにアメリカに養子に出していたという証言が得られ、フィロミナ達はアメリカ行を決定する。
アメリカではジャーナリストであるマーティンの人脈によって、アンソニーの新たな情報が得られる。アンソニーはアメリカで養子となり、マイケル・ヘスと名付けられたことが分かった。マーティンはインターネットでマイケル・ヘスと検索すると、レーガン政権下とブッシュ政権下で法律顧問を務めた人物であることがわかる。フィロミナに顔写真を確認してもらうと、マイケル・ヘスはアンソニーに相違ないと答えた。しかしマイケル・ヘスは既にAIDSで亡くなっていた。
調査を進めるとマイケル・ヘスはゲイであり、かつてのパートナーによれば、フィロミナがいた修道院の墓に眠っていると聞き、フィロミナ達は調査開始地点の修道院に戻り、マイケル・ヘスの墓参りをする。
キャスト
[編集]※括弧内は日本語吹替
- フィロミナ・リー: ジュディ・デンチ(沢田敏子)
- マーティン・シックススミス: スティーヴ・クーガン(中博史)
- 若き日のフィロミナ: ソフィ・ケネディ・クラーク(下山田綾華)
- メアリー: メア・ウィニンガム
- シスター・ヒルデガード: バーバラ・ジェフォード
- マザー・バーバラ: ルース・マッケイブ
- ピート・オルソン: ピーター・ハーマン
- マイケル: ショーン・マーホン
- ジェーン: アンナ・マックスウェル・マーティン(村中知)
- サリー・ミッチェル: ミシェル・フェアリー(佐竹海莉)
音楽
[編集]- サウンドトラック - アレクサンドル・デスプラ作曲、2013年10月25日リリース。
評価
[編集]批評家の反応
[編集]本作は批評家から絶賛された。映画批評サイトRotten Tomatoesには197件のレビューがあり、批評家支持率は90%、平均点は10点満点で7.75点となっている[7]。批評家の意見をまとめると「魅力あふれる実話に基づいた上に、ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンという実力派俳優の名演に支えられた作品である。目利きの観客にも深い感動を与えうるドラマだ。」となる。Metacriticには42件のレビューがあり、高評価は38件、賛否混在は3件、低評価は1件で、平均点は100点満点で77点となっている[8]。
ただし、本作におけるカトリックの描写に関しては議論がある。ニューヨーク・ポストのカイル・スミスは本作を「カトリックへの悪質な攻撃である」と評した[9]。この批判に対し、本作の制作者であるハーヴェイ・ワインスタインはニューヨーク・ポストに全面広告を出して抗議した。
受賞
[編集]賞 | カテゴリー | 対象者 | 結果 |
---|---|---|---|
オーストラリア映画協会賞[10] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
EDA賞[11] | 年齢を重ねても若々しい女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート | |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
英国インディペンデント映画賞[12] | 主演男優賞 | スティーヴ・クーガン | ノミネート |
主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
脚本賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
クリティクス・チョイス・アワード[13] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
シカゴ映画批評家協会賞[14] | 脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート |
ゴールデングローブ賞[15] | 主演女優賞 (ドラマ部門) | ジュディ・デンチ | ノミネート |
作品賞 (ドラマ部門) | ノミネート | ||
脚本賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
ハンプトン国際映画祭[16] | 国内作品賞 | スティーヴン・フリアーズ | 受賞 |
ロンドン映画批評家協会賞[17] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
英国主演男優賞 | スティーヴ・クーガン | ノミネート | |
英国主演女優賞 | ジュディ・デンチ | 受賞 | |
英国作品賞 | ノミネート | ||
脚本賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
フェニックス映画批評家協会賞[18] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
サンフランシスコ映画批評家協会賞[19] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
サテライト賞[20] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | 受賞 | |
作品賞 | ノミネート | ||
作曲賞 | アレクサンドル・デスプラ | ノミネート | |
全米映画俳優組合賞[21] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
セントルイス映画批評家協会賞[22] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
トロント国際映画祭[23] | 観客賞 | スティーヴン・フリアーズ | 次点第1位 |
ヴェネツィア国際映画祭[24] | 金獅子賞 | ノミネート | |
クィア獅子賞 | 受賞 | ||
脚本賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | 受賞 | |
ワシントンD.C.映画批評家協会賞[25] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
ジョー・バーバー賞 | ノミネート | ||
女性映画批評家協会賞[26] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | 受賞 |
女性イメージ賞 | 受賞 | ||
女性映画賞 | 受賞 | ||
アカデミー賞[3] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
作曲賞 | アレクサンドル・デスプラ | ノミネート | |
英国アカデミー賞[3] | 主演女優賞 | ジュディ・デンチ | ノミネート |
脚色賞 | スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ | 受賞 | |
作品賞 | ノミネート | ||
英国作品賞 | ノミネート |
出典
[編集]- ^ a b “Philomena” (英語). Box Office Mojo. 2020年5月13日閲覧。
- ^ 「キネマ旬報」2015年3月下旬号 104頁
- ^ a b c d “映画 あなたを抱きしめる日まで (2013)について”. allcinema. 2020年5月13日閲覧。
- ^ “Venezia 70”. labiennale. 2013年7月26日閲覧。
- ^ “Venice film festival 2013: the full line-up”. The Guardian. 2013年7月26日閲覧。
- ^ “Official Awards of the 70th Venice Film Festival”. labiennale. 2013年9月10日閲覧。
- ^ “Philomena (2013)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年5月13日閲覧。
- ^ “Philomena Reviews” (英語). Metacritic. 2020年5月13日閲覧。
- ^ Smith, Kyle (2013年11月21日). “‘Philomena’ another hateful and boring attack on Catholics” (英語). New York Post 2014年1月1日閲覧。
- ^ Frater, Patrick (13 December 2013). “Australian Awards Laud 'American Hustle'”. Variety. 13 December 2013閲覧。
- ^ “2013 EDA Award Nominees”. Alliance of Women Film Journalists (11 December 2013). 13 December 2013閲覧。
- ^ “Nominations 2013”. British Independent Film Awards (11 November 2013). 3 December 2013閲覧。
- ^ Gray, Tim (December 16, 2013). “Critics Choice Awards: '12 Years,' 'American Hustle' Earn 13 Nominations Each”. Variety. December 16, 2013閲覧。
- ^ “'12 Years A Slave' Leads In Chicago Film Critics Association Award Nominations”. IndieWire (13 December 2013). 13 December 2013閲覧。
- ^ Reynolds, Simon (12 December 2013). “Golden Globes nominations 2013: Movies list in full”. Digital Spy. 12 December 2013閲覧。
- ^ Smith, Nigel M (14 October 2013). “'Philomena' and 'Desert Runners' Nab Audience Award Honors at Hamptons International Film Festival”. IndieWire. 3 December 2013閲覧。
- ^ “London Critics' Circle Announces 2014 Film Awards Nominations”. London Film Critics Circle (17 December 2013). 17 December 2013閲覧。
- ^ “Phoenix Film Critics Society 2013 Award Nominations”. Phoenix Film Critics Society. 11 December 2013閲覧。
- ^ Lodge, Guy (December 13, 2013). “2013 San Francisco Film Critics Circle nominations”. HitFix. December 14, 2013閲覧。
- ^ “2013 Nominations”. International Press Academy. 3 December 2013閲覧。
- ^ Breznican, Anthony (11 December 2013). “SAG Award Noms: '12 Years a Slave' leads while 'The Butler' surprises”. Entertainment Weekly. 11 December 2013閲覧。
- ^ Venhaus, Lynn (9 December 2013). “St. Louis Film Critics choose their award nominees”. Belleville News-Democrat 10 December 2013閲覧。
- ^ “TIFF 2013: 12 Years a Slave wins film fest's top prize”. Toronto Star. (15 September 2013) 3 December 2013閲覧。
- ^ “Official Awards of the 70th Venice Film Festival”. 8 September 2013閲覧。
- ^ Tapley, Kristopher (8 December 2013). “'12 Years a Slave' and 'Her' lead the way with Washington D.C. critics nominations”. HitFix. 9 December 2013閲覧。
- ^ Tapley, Kristopher (16 December 2013). “2013 Women Film Critics Circle winners”. HitFix. 17 December 2013閲覧。
関連項目
[編集]- マグダレンの祈り - カトリックの戒律を描いた映画。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト - ウェイバックマシン(2015年6月27日アーカイブ分)
- あなたを抱きしめる日まで - allcinema
- あなたを抱きしめる日まで - KINENOTE
- Philomena - IMDb
- Philomena - Metacritic