心筋梗塞は突然じゃない!放置しがち、だけど重要な警告サインとは|医師が解説

 心筋梗塞は突然じゃない!放置しがち、だけど重要な警告サインとは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-04-10

心筋梗塞を引き起こすとされている主な要因や症状とは?その予防策も合わせて医師が解説します。

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心筋梗塞は突然じゃない!放置しがちな警告サインとは

心筋梗塞は、心臓を動かす心筋に血液が届かなくなって、激しい胸の痛みなどに襲われる病気です。

この病気は、高血圧などが誘因となって形成される冠動脈の硬化性変化に伴って冠状動脈の血行障害をきたすことによっても発症します。

生命に必須である心臓への血液供給が数分以上にわたって大きく減少するか中断されると、心臓の横紋筋の筋肉組織が壊死することに繋がります。

心臓のポンプ機能は、心筋が収縮と拡張を繰り返すことで維持されていますので、心筋梗塞を起こして心筋の一部が機能しなくなって死んでしまうと、ポンプ機能が正常に働かなくなって、心不全などを引き起こしてしまいます。

心筋梗塞を引き起こすとされている主な要因として、以下が挙げられます。

  • 高血圧
  • 肥満
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • ストレス
  • 喫煙
  • 家族歴など

心筋梗塞は、主要な症状として急に胸に激痛が起こり、胸に締めつけられるような圧迫感を覚える危険な心臓の病気であることが知られています。

心筋梗塞は突然発症するだけでなく、予兆を感じるケースもあり、その前兆症状としては、胸の痛みや、胸が締めつけられるような圧迫感です。

心筋梗塞の前兆

心筋梗塞を起こした人の約半数は、発症する1~2か月以内に、そうした前兆を経験するといわれていますが、糖尿病を抱えている人や高齢者などは、痛み等の自覚症状を感じにくいことがしばしばあります。

心筋梗塞の前兆がある場合には、胸の痛みや圧迫感が、まず5~10分程度数回繰り返された後に、症状がさらに激しくなったり、症状の出現頻度が増加することがあります。

胸の痛みや気分が悪くなることが、心筋梗塞の一般的な前兆のサインですが、胸焼け症状と間違われる場合もありますので、注意が必要です。

また、心筋梗塞では、普段の活動をしているなかで、急な息切れが起こることがありますし、それ以外にも、嘔気や冷や汗、頭痛、めまい、疲労感などが前兆として自覚されることもあります。

心筋梗塞
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心筋梗塞の予防策とは?

心筋梗塞の予防は、何よりも動脈硬化を起こさないことであり、それには日常の食生活における工夫が重要です。

血液中に塩分が増えてしまうと、血圧が必然的に上がりますし、血圧が高い状態が続くと、血管壁はその圧力に耐えようとして、生理的に硬くなってしまい動脈硬化が進行します。

ラーメンやうどん、そばなどの麺類の汁を飲み干すのはやめて、普段から調理法を工夫し、塩を使う代わりに、酢やレモン、香辛料などを活用するのも一手です。

また、野菜や海藻から日常的にミネラルを摂るようにしましょう。

一般的に、血液中のカリウムが増えると、ナトリウムが排出され血圧が下がる傾向にあり、高血圧を予防することは心筋梗塞の発症予防に直結することになりますので、カリウムの摂取は大事な要素です。

カリウムを豊富に含むのは、トマト、カボチャ、ほうれん草、サトイモなどの野菜類や、バナナ、シイタケ、納豆などが代表例です。

心筋梗塞を事前に予防するためには、食生活における工夫と並んで、習慣的な運動が効果的であり、軽い運動でもいいので日常的に習慣づけるようにしましょう。

特に、心筋梗塞を防ぐ為に勧められるのは有酸素運動であり、ジョギングや水中歩行などが該当します。

有酸素運動は、早朝や深夜などの時間帯をなるべく避けて、1回当たり30分程度、週に3~4回と無理のない範囲で継続して実践するようにしましょう。

まとめ

心筋梗塞は、心臓を養う冠動脈という血管が突然ふさがり、冠動脈疾患を起こすことによって心筋の一部への血液供給が大きく減少し遮断されることで発症します。

心筋梗塞を発症した場合には、その半数以上が発作前に自覚的に前兆症状を感じているといわれています。

胸痛や胸部圧迫感、胸焼け、肩・歯・下顎部にかけての放散痛、胸痛発作などの症状をたびたび繰り返す、特に階段や坂道を昇降する際に胸部症状を起こしやすいなどの項目が当てはまる場合には、心筋梗塞の前兆かもしれません。

これらの心筋梗塞の疑いがある初期症状を認めた際には、迅速に専門医療機関を受診して的確な治療を受けられることをお勧めします。

心筋梗塞は、死に至りやすい危険な病気であり、胸部症状を自覚して前兆があった段階で循環器内科や救急医療機関を受診することで、心筋梗塞による死亡を最大限防ぐことが可能となります。

心筋梗塞の発症原因のほとんどは血管の動脈硬化にあると言われており、動脈硬化そのものは食事や運動などを中心に普段の生活の仕方に少し意識して気をつけることで充分に防げます。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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