姥神大神宮渡御祭
姥神大神宮渡御祭は、神輿行列に、豪華に飾り付けされた山車13台が供奉(ぐぶ)して町内を練り歩く、江戸時代から続く伝統のある祭りです。13台の山車のひとつ、蛭子山(えびすやま)で最高責任者の頭取(とうどり)を務められる西海谷(さいかいや)望さんに姥神大神宮渡御祭の見どころをお聞きしました。
- 8月9日~8月11日 ※毎年同日
- 北海道江差町内一円
・JR江差線 函館-江差 約2時間25分
・路線バス(函館バス) 函館-江差 約2時間
・札幌より車で 約4時間30分
- 追分商工観光課
0139-52-6716
※掲載された情報につきましては、独自に集積したものであり、変更されている場合もあります。
お出かけの際には各祭りの主催者へのお問い合わせや公式サイトなどで必ずご確認ください。


シシゾウ:姥神大神宮渡御祭にはどのような由来があるのですか?
西海谷:姥神大神宮渡御祭は姥神大神宮の夏の大祭で、364年の歴史があります。姥神大神宮は江差に繁栄をもたらしたニシン漁と関係の深い社です。その昔、江差は寒冷で農作物がほとんどできない貧しい土地でした。伝説では、天変地異を予言するので、江差の人々から折居(おりい)様と呼ばれ敬われているおばあさんがいました。ある日、折居の前に白髪の翁が現れ、瓶子(へいし=小型の壺)を与え、中に入っている水を海に注げと告げました。折居が鴎島(かもめじま)に行き翁に言われたとおりにすると、海が白く濁ってニシンの群れが現れ、その後、江差はニシン漁で豊かになりました。江差の人々は折居に感謝し、姥神様として祀ったのが姥神大神宮で、ニシンの豊漁に感謝をして行われるようになったのがこの祭りだということです。シシゾウ:姥神大神宮渡御祭ではどのような催しが行われるのですか?
西海谷:姥神大神宮の神輿3基の行列に、私たちが山車(やま)と呼んでいる氏子各町の曳き山13台がお伴して江差の町を練り歩きます。山車は、朝の9時頃に自分たちの町を出発して姥神大神宮に集まり、その後、神輿行列に続いて町内を巡り、深夜に再び自分たちの町に戻ります。山車を出す町内の大人や子どもたちは、朝から晩まで山車につきっぱなしの3日間です。シシゾウ:山車にはどのような特徴があるのですか?

シシゾウ:姥神大神宮渡御祭の見どころはどこですか?
シシゾウ:祭り囃子にはどのような特徴がありますか?
西海谷:囃子は大太鼓、小太鼓、鉦、笛によって演奏され、太鼓の節目節目に山車の曳き手たちの掛け声が入ります。囃子の種類として、「立て山」、「行き山」、「帰り山」の3種類があります。「立て山」は、神社の前に山車が正面を向けて停まった(立てた)ときに演奏するお囃子で、「ヨーイヨーイ」「ドーンドン」というゆったりしたテンポで厳かな雰囲気があります。「行き山」は、町中を練り歩くときに演奏するもので、「ドーンドン」「ソーレ」「タンタンタンタン」という感じで「立て山」より少しテンポが速くなります。巡行では、枝宮(えだみや)と呼ばれる姥神大神宮をお守りしている小さな神社も回るのですが、枝宮に着き、「立て山」を演奏した後、立ち去るために山車の向きをクルッと反対に変えます。そのとき、「ソレソレ」「ヨーイヨーイ」という掛け声で、「行き山」よりも速いテンポのお囃子を演奏します。これが「帰り山」です。祭り囃子は山車ごとに違うので、全ての山車の祭り囃子を聞くのであれば10日の昼から行われる祭り囃子コンクールがお勧めです。13台の山車が勢揃いし、1台ずつ順番に祭り囃子を披露していくので、それぞれの囃子の違いを聞き比べてみるのもおもしろいのではないでしょうか。



シシゾウ:女性は、祭りでどのような役割を担っているのですか?
西海谷:江差の祭りは、山車を曳く子どもや男が目立ちますが、女性たちも頑張っています。山車の巡行中、山車に付いている者たちは「けっこうな祭りで」と言って、知人の家を訪ねます。訪問先ではその家のお母さん、おばあちゃんたちが御馳走やお酒、ジュースで精一杯もてなしてくれます。この日のために、どこの家でも女性は何日もかけて御馳走の準備をしますし、毎年の事なので、あそこの家は赤飯がおいしいといった具合に、私たち訪問する側も各家の自慢料理を把握しています(笑)。手前味噌になりますが、私の家は煮しめが得意料理で、みんなが「西海谷、煮しめ食べに来たぞ!」と言って訪ねてくれるのですが、その煮しめを作るために私の母親は春先から山で筍を取ってきて塩漬けするなど準備をしています。祭り期間中、どこの家でも、もてなす客人は何百人という数になると思います。知っている人はもちろん知らない人でも山車を曳いてくれたから一緒に呼ばれようと言ってお誘いすることも珍しくないですからね。こんな祭り、よそにはないと思います。
