イギリスにおける口座引き落としの委任について企業が知っておくべきこと

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  1. はじめに
  2. 口座引き落としの委任状の主な内容
  3. 口座引き落としの委任が企業にとって重要な理由
  4. 口座引き落としの委任を設定する方法
  5. 口座引き落としの委任に影響するイギリスの規制とガイドライン
    1. 口座引き落とし保証
    2. Bacs 規制
    3. 顧客確認 (KYC) およびマネーロンダリング防止 (AML) 要件
    4. データ保護

口座引き落としの委任、または口座引き落としの指示は、企業またはサービスプロバイダーが顧客の銀行口座から直接支払いを自動的に引き落とすために必要な承認手続きです。委任状で顧客の同意を確認し、必要な銀行情報を受け取ります。企業は、毎月のサブスクリプション、公共料金の請求書、ローンの返済などの継続支払いによく利用しています。

口座引き落としの委任により、両当事者の支払いプロセスも簡素化されます。顧客は期日をわざわざ記憶したり、取引を手動で承認したりすることなく、定期的な支払いを管理できるようになり、企業も管理費を抑えながらキャッシュフロー予測を維持できます。委任により、イギリスの口座引き落とし決済システムである Bacs は、2023 年にサブスクリプションだけで 5 億 7,200 万件以上 の取引を記録しました。

以下では、イギリスの企業が口座引き落としの委任について知っておくべきこと (内容、導入方法、影響する規制やガイドライン) について解説していきます。

本記事の内容

  • 口座引き落としの委任状の主な内容
  • 口座引き落としの委任が企業にとって重要な理由
  • 口座引き落としの委任を設定する方法
  • 口座引き落としの委任に影響するイギリスの規制とガイドライン

口座引き落としの委任状の主な内容

口座引き落としの委任状は、企業が顧客の銀行口座から支払いを回収するための承認を得る目的で利用されます。委任状の内容として、以下の事項を含める必要があります。

  • 顧客の銀行口座情報:委任状には、口座名義人、銀行または住宅金融組合の名前、口座番号、ソートコードを含める必要があります。

  • 会社情報:会社またはサービスプロバイダーの名前、住所、サービスユーザー番号 (SUN) (口座引き落としを処理するために Bacs が発行する一意の ID が含まれます。

  • 承認ステートメント:顧客から得られるこのステートメントによって、企業は銀行口座から直接支払いを回収することを許可されます。ステートメントの文言は、Bacs ガイドラインに準拠していなければなりません。

  • 保証ステートメント:このステートメントは、口座引き落とし保証に基づく支払人の権利について説明するものです。支払人の権利には、誤った支払いや不正な支払いに対して即時返金を受ける権利などが含まれます。

  • 事前告知条項:企業は口座引き落としの金額、頻度、回収日を変更する前に、事前通知 (通常は 10 営業日前) を行うことを義務付けられます。

  • 署名:紙の委任状には、顧客の署名と署名日が必要です。デジタル委任状の場合、顧客はウェブまたは電話で承認を行います。

口座引き落としの委任が企業にとって重要な理由

口座引き落としの委任が適切に運用されることで、以下のメリットが企業にもたらされます。

  • 継続支払い:SaaS (サービスとしてのソフトウェア) ビジネスやジムなど、サブスクリプションベースのモデルに依存しているビジネスでは、口座引き落としの委任により安定した収益を確保できます。口座引き落としを導入することで、クレジットカードの期限切れや支払いの失敗により多発している不本意な解約を減らし、月間経常収益 (MRR) を安定させることができます。

  • 変動的な支払い:口座引き落としの委任により、支払い額を変動させられるようになるため、使用量に応じて請求する必要があるビジネス (公共料金、通信事業など) にとっては強力なサポート手段となります。委任により、企業は収益と消費量を照合し、料金が使用パターンにどの程度反映されるかを事前に把握できます。

  • 顧客とのコミュニケーション:支払い条件、回数、金額に関する誤解は、顧客の不満や不審請求の申請につながる可能性があります。口座引き落としの委任を行う場合、企業はこれらの詳細を事前に明確に伝え、顧客の明示的な同意を得る必要があります。これにより、信頼関係が構築され、不審請求の申請やキャンセルのリスクを軽減できます。

  • 照合:e コマースプラットフォーム、通信事業者、公益事業など、取引量の多い企業の場合、口座引き落としの委任により口座照合のプロセスが簡素化され、また手動での追跡が減ることで財務チームの作業負荷が軽減されます。

  • 修正・停止:企業は、収益漏損やコンプライアンスの問題を防ぐために、口座引き落としの委任の修正または停止に関する特定のルールを理解しておく必要があります。たとえば、顧客が銀行の詳細を変更したり、サブスクリプションをキャンセルしたりする場合、企業はこれらの変更を迅速に把握して、不正取引や顧客の不満を回避しなければなりません。

口座引き落としの委任を設定する方法

口座引き落としの委任を設定する場合、法令に遵守し、特定の手順に従って円滑な運用を確保する必要があります。以下は、導入のガイドです。

  • プロバイダーの選択:口座引き落としサービスを提供している決済サービスプロバイダー を決めます。このプロバイダーは、イギリスの銀行規制に準拠し、コスト、使いやすさ、カスタマーサポートの点でビジネスニーズに適合している必要があります。Stripe で口座引き落としを利用される場合は、こちらで詳細をご覧ください。

  • 委任状の作成:口座引き落としの委任状を作成します。これは、銀行口座からの支払いを承認するために顧客が記入する書類です。委任状には、顧客の銀行情報 (口座番号、銀行名など) や支払い条件を含める必要があります。

  • 顧客の承認の取得:顧客に委任状への記入をお願いし、署名してもらいます。紙の委任状の場合は、印刷された用紙に実際に署名する必要があります。デジタル委任状の場合、電子署名や、テキストメッセージ (SMS) 確認コードなどの安全な手続きを含むオンラインプロセスを利用できます。

  • 決済サービスプロバイダーへの委任状の提出:決済サービスプロバイダーに委任状を提出します。Bacs は、委任状で設定されたスケジュールに従って、決済取引の送信を処理します。

  • 顧客への通知:口座引き落としのプロセスを開始する前に、顧客に事前通知を送信します。通知 (通常はメール) は、今後の引き落としスケジュールを顧客に通知するためのものです。初回の取引の 少なくとも 2 日前 に送信するようにしてください。

  • 支払いの回収:通知期間後、承認された支払いの回収を開始します。システムが合意された日付に取引を処理できること、および支払いの失敗やキャンセルなどの例外を処理できることを確認します。

口座引き落としの委任に影響するイギリスの規制とガイドライン

イギリスで口座引き落としの委任を実施および管理するには、顧客を保護し、決済システムの完全性を維持するための規制とガイドラインに従う必要があります。この項目では、口座引き落としの委任に影響するイギリスの主な規制とガイドラインをご紹介します。

口座引き落とし保証

口座引き落とし保証は、イギリスの口座引き落としシステムの要とも言える要素です。エラーが発生した場合に顧客を保護するための仕組みであり、次の手続きが必要です。

  • 顧客は、誤った、または不正な口座引き落としがあった場合に、銀行から全額の即時返金を受ける権利があります。

  • 口座引き落としの日付、回数、金額が変更される場合、企業は顧客に事前に通知する必要があります。通常、変更が有効になる 10 営業日前にはこの通知を送信しなければなりません。

  • 顧客は、銀行、住宅金融組合、または代金回収業者に連絡することで、いつでも口座引き落としを停止できます。

Bacs 規制

イギリスの口座引き落としシステムを監督する Bacs は、口座引き落としを利用する組織に対して次のルールを定めています。

  • 口座引き落としシステムを利用するには、Bacs のメンバーでかつ SUN を取得している決済サービスプロバイダーのスポンサーシップが必要です。

  • 企業は、適切な書類の作成、保管、データ保護など、口座引き落としの委任を処理するための Bacs 規則に従う必要があります。

顧客確認 (KYC) およびマネーロンダリング防止 (AML) 要件

イギリスの金融規制により、企業は以下の KYC および AML のルールに基づいてデューデリジェンスを実施する義務があります。

  • 詐欺やマネーロンダリングを防ぐために、口座引き落としの委任を設定する際に顧客の身元を確認する。

  • 顧客の本人確認と関連文書の正確な記録を保管する。

データ保護

口座引き落としの委任には、機密性の高い顧客情報の取り扱いが含まれます。そのため企業は、イギリスの一般データ保護規則 (UK GDPR) に基づき、以下のルールを遵守する必要があります。

  • 顧客データを安全に収集、処理、保存する。

  • データアクセス要求とデータ侵害の対応手順を導入する。

  • データの使用方法について顧客に通知し、必要に応じて同意を取得する。

この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。

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