可憐な細工が随所に見られる楽しさが宿る桜菓子

「花筏(はないかだ)」「夢見桜」「花時雨(はなしぐれ)」は練り切り、「ひとひら」は百合根のきんとん、「宵桜」は金時豆の鹿の子、「春音」はういろうで黄味餡(あん)を包む。すべて1個432円。
数種の色を混ぜ合わせ、自在に色をつくる。それらを白い練り切りに重ね合わせると、うっすらと透けたグラデーションある姿に。
桜の凹凸を出すための木型は山桜製。3代目の祖父の時代から使う。

静岡は浜松で150年以上もの歴史を誇る『巌邑堂(がんゆうどう)』。初代が美濃国巌邑藩(岐阜県恵那市岩村町)の藩士であったことに因み、この屋号に。幕末に士分を廃し、遠州浜松に移り菓子づくりをはじめた。浜松は、武家茶道「遠州流」にゆかりある地。5代目主人の内田弘守さん(53歳)が供する菓子はわび・さびの世界観に豊かさと美しさを加えた、遠州流ならではの“綺麗さび”を彷彿とさせる。

記憶に残る菓子づくり

「新作を手がけるとき、まずは銘を付け、その意図に思いを馳せてもらえるよう形づくります」

そうした菓子づくりの基本は、毎日吟味した小豆を丹念に炊くこと。使う豆は北海道美瑛産のしゅまりで産地に出向き、収穫時に手伝うなどして生産者と交流し信頼関係を築いてきた。

「和菓子は心で食べるものであり、心を惹く妖艶さも必要。私はそんな美の中に、素直に食べたいと思ってもらえる気軽さ、楽しさも練り込みたいと思っています」

「小さな頃好きだったプラモデルづくりが、今の細やかな作業に役立っているかも」と内田さん。昭和46年に浜松で生まれ、大学卒業後、東京の和菓子店で修業を積み、店を継いだ。

巌邑堂 袖紫ヶ森店

静岡県浜松市中央区神立町字袖紫ヶ森136-10
電話:053・545・3232
営業時間:9時〜18時
定休日:水曜
交通:JR浜松駅北口から車で約15分 ※日本橋髙島屋店、六本木ヒルズ店もあり。

サライ2025年4月号大特集は『「大学」に遊ぶ』

 

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