Introduciton
夢破れた脚本家がたどり着いたのは、他者の弔辞を綴る仕事だった。人々の人生の欠片を拾い集め、言葉に託す日々の中で、ふと自分を見つめ直す瞬間が訪れる―
フー・ゴー[胡歌]×ウー・レイ[胡歌]、中国が誇るトップスターの共演。人生の回り道を優しく包み込む静謐なヒューマンドラマ
弔辞作家の日常というユニークな題材を軸に、人々の人生模様や死生観を繊細に織り込んだヒューマンドラマが誕生した。主演は、華やかな時代劇スターから近年では『チィファの手紙』(18/岩井俊二)や『鵞鳥湖の夜』(19/ディアオ・イーナン)で内面を掘り下げた演技で芸域を広げる国民的人気俳優のフー・ゴー。同居人のシャオイン役は、『西湖畔に生きる』(23)で圧巻の演技を披露し、本作がフー・ゴーと三度目の共演となるウー・レイ。卒業制作『Oxhide(英題)』(05/原題:牛皮)で、第55回ベルリン国際映画祭でカリガリ映画賞と国際映画批評家連盟賞を受賞したリウ・ジアイン監督が、長年の思索を重ねて熟成させた14年ぶりの待望の新作。名匠ジャ・ジャンクー(『長江哀歌』『新世紀ロマンティクス』)やディアオ・イーナン(『薄氷の殺人』)も絶賛する、柔らかで洗練された確かな力を感じさせる本作は、第25回上海映画祭で最優秀監督賞と最優秀男優賞(フー・ゴー)を受賞した。
Story
主人公のウェン・シャンは大学院まで進学しながら、脚本家として商業デビューが叶わず、不思議な同居人シャオインと暮らしながら、今は葬儀場での〈弔辞の代筆業〉のアルバイトで生計を立てている。丁寧な取材による弔辞は好評だが、本人はミドルエイジへと差し掛かる年齢で、このままで良いのか、時間を見つけては動物園へ行き、自問自答する。同居していた父親との交流が少なかった男性、仲間の突然死に戸惑う経営者、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性など、様々な境遇の依頼主たちとの交流を通して、ウェンの中で止まっていた時間がゆっくりと進みだす。
Cast
フー・ゴー[胡歌](ウェン・シャン役)
1982年、中国・上海生まれ。幼少期からテレビCMに出演するなど芸能活動を開始し、上海戯劇学院で演技を専攻しながら、大ヒット武侠ドラマ『仙剣奇侠伝』(05)で主演を務め注目を集める。2011年にはジャッキー・チェン主演映画『1911』(11)に出演し、百花賞最優秀新人賞にノミネートされる。本作『来し方 行く末』では、第25回上海国際映画祭にて最高賞である金爵賞の最優秀男優賞を受賞。また、ウォン・カーウァイが監督を務め社会現象となったTVシリーズ『繁花(原題)』(23)で第29回釜山国際映画祭アジアコンテンツアワードにて最優秀主演男優賞を受賞。映画出演作に、『チィファの手紙』(18/岩井俊二監督)、第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作『鵞鳥湖の夜』(19/ディアオ・イーナン監督)、『最高でも、最低でもない俺のグッドライフ』(24/ロン・フェイ監督)ほか。
ウー・レイ[呉磊](シャオイン役)
1999年、中国・上海生まれ。3歳からテレビCMに出演。2006年にはTVシリーズ『楊家将伝記 兄弟たちの乱世』にて、フー・ゴー演じる主人公の幼少期を務め注目を集める。その後、TVシリーズ『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~』に続き、本作『来し方 行く末』でフー・ゴーと3度目の共演を果たした。そのほか、『蒼穹の剣』(18)『クロスファイア』(20)、『長歌行』(21)、『星漢燦爛<せいかんさんらん>』(22)など多数のTVシリーズで主演を務めたことから、中国国内のみならず日本も含めたアジア圏で絶大な人気を誇る。映画作品では、チャン・イーモウ監督作『SHADOW/影武者』(18)、第36回東京国際映画祭にて最優秀男優賞にノミネートされた『西湖畔に生きる』(23/グー・シャオガン監督)など話題作への出演が続いている。
チー・シー[斎溪](シャオ・ジンスイ役)
1984年、中国貴州省生まれ。第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品された『二重生活』(12/ロウ・イエ監督)に出演し、第49回台北金馬奨、第7回アジア・フィルム・アワードなどで最優秀新人賞を受賞。主な出演作に、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』(18/ビー・ガン監督)、『在りし日の歌』(19/ワン・シャオシュアイ監督)、第25回東京フィルメックスにて観客賞を受賞したロウ・イエ監督最新作『未完成の映画』(24)など。
ナー・レンホア[娜仁花](ファン役)
1962年、中国・内モンゴル自治区生まれ。14歳で映画のキャリアをスタートさせ、第40回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映された『蕭蕭(シャオシャオ)』(86)で主演を務め、第7回中国金鶏賞主演女優賞にノミネートされるなど一躍注目を集める。主な出演作に、『天上草原』(02)、『白い馬の季節』(05)ほか。
ガン・ユンチェン[甘昀宸](ルー役)
1988年、中国・新疆ウイグル自治区生まれ。北京電影学院演技科を卒業後、2014年にバラエティ番組に出演し芸能界入り。主な出演作に、『ボーン・トゥ・フライ』(23)、TVシリーズ『Fake It Till You Make It(英題)』(23)など。『も、最低でもない俺のグッドライフ』(24/ロン・フェイ監督)では、フー・ゴーと2度目の共演を果たす。
Staff
監督・脚本:リウ・ジアイン[劉伽茵]
脚本家・監督であるリウ・ジアインは、北京電影学院(BFA)を卒業し、現在は脚本制作の准教授を務める。中国のインディペンデント映画界で独自の映画スタイルとテーマ性で知られている。長編デビュー作『Oxhide(英題)』(05/原題:牛皮)は、第55回ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞と国際批評家連盟賞を受賞。『来し方 行く末』(23)は、カンヌ国際映画祭監督週間とロッテルダム国際映画祭Bright Future部門で上映された『オクスハイドⅡ』(09/原題:牛皮Ⅱ)以来の14年ぶりの新作。
エグゼクティブプロデューサー:ツァオ・バオピン[曹保平]
ツァオ・バオピンは、中国の映画監督、脚本家、プロデューサーであり、『The Dead End(英題)』(15)、『Cock And Bull』(16)、『The Equation of Love and Death(英題)』(08)、『Einstein & Einstein(英題)』(18)などの作品で知られている。中国のフィルム・ノワールや犯罪映画のベテラン作家として、第18回上海国際映画祭での最優秀監督賞や、中国金鶏百花映画祭において百花賞の最優秀映画賞など多くの賞を受賞。また、2017年には第20回上海国際映画祭、2019年には第9回北京国際映画祭で審査員を務める。
Review
弔辞を代筆するというリウ・ジアイン監督独自の視点から人生の意味や家族の絆について深く問いかけ、あらゆる感情を揺さぶる作品だ。
ジャ・ジャンクー[賈樟柯]
『長江哀歌』、『新世紀ロマンティクス』監督
映画は勝利によって英雄を定義するのではなく、失敗を通じて本当の英雄を見つける。英雄とは失敗した人間かもしれないし、そもそも失敗する機会すらない普通の人かもしれない。この映画が描き出す包容力と繊細さ、そして人生を問いかける姿勢に深く心を動かされた。
ディアオ・イーナン[刁亦男]
『薄氷の殺人』、『鵞鳥湖の夜』監督
ウェン・シャンというキャラクターは、文学作品に登場するような深みを持ち、まるで世間を彷徨う魂のような存在だ。彼の台詞は、生活の中で交わされるシンプルな言葉でありながら、ドラマ的な意味を超えた力を持っている。
ワン・ホンウェイ[王紅衛]
Netflix『流転の地球』脚本、『宇宙探索編集部』製作総指揮
大学時代にリウ・ジアイン監督から教わったのは『人間観察』だった。本作を観て、彼女がリアルな生活の中から物語の触感や質感を引き出していることを実感した。これほど自然で生活感あふれる物語は、そうした深い観察なしには生まれないだろう。
シャオ・イーホイ[邵芸輝]
『白さんは取り込み中』、『好東西(原題)』監督