2025年8月26日火曜日

色川

【場所】
東京都台東区雷門2-6-11

【味】
うな重は「普通」と「たっぷり」の二種類。ここは迷わず「たっぷり」を選択。
蓋を開けると一尾半のうなぎが隙間なく敷き詰められ、紀州備長炭で焼き焦がされたタレの香りが食欲をそそる。
小ぶりで締まった細身のうなぎを使用。かつて江戸っ子が「めそっこ」と呼び殊更好んだそうだ。
身は程よい柔らかさで、口溶けも絶妙。あっさりとした味付けは、うなぎ本来の甘味と旨味そして風味を一層引き立てている。文句なしの絶品蒲焼。

【お店】
創業は文久元年1861年。同じ浅草の初小川、駒形前川とともに「三川」と呼ばれている。予約を受けない硬派なお店で、日々行列が絶えない。平日のこの日は開店30分前に到着し一番客となったが、開店と同時に席は全て埋まってしまい、数人は中に入れず待ちとなっていた。。
店内は昭和初期にタイムスリップしたかのような風情が漂い、カウンター4席とテーブル2卓で総席数は12席。とても狭く隣の人と肘がぶつかりそう。
六代目の名物ご主人が他界され、現在は奥様と娘さんが暖簾を守っている。二人で切り盛りしているため細やかな接客は期待できないが、娘さんは威勢が良く英語も堪能で感じが良い。

【値段】 
たっぷり 5500円(税込)
(直近訪問日 2025.8.26)

【おすすめ度】
★★★★★




2025年8月6日水曜日

鮮魚 魚豊

【場所】
大阪府大阪市中央区日本橋2-11-21

【味】
この日の鰻は三河産。腹開きにした頭付きの身は中々の大きさ。これを鉄串に刺し、時々水を吹きかけながら備長炭上で丁寧に万遍返しを行い、程よく焼き色がついたところで銅鍋のタレをお玉でドバドバと流しかけ、再度焼き上げていく。
市場の魚屋がサービスで提供しいるものなので、出来栄えは職人がいる専門店のものとは比較にはならないが、ご年配のお母さんが目の前で焼き上げてくれる蒲焼は、美味しさだけではなくプライスレスの価値がある。

【お店】
大阪の台所「黒門市場」アーケードの脇で85年にわたって営業を続ける鮮魚店。
ご年配のお母さんが、軒先で大振りのうなぎを豪快に焼き上げる動画が、海外で大バズりしているらしく、平日にもかかわらず うな丼を求める外国人で人だかりが絶えない。
買ったうな丼は市場内のインフォメーションセンター内で食べることができる。
気温40度近い猛暑の中、軒先で一日中うなぎを焼き続けるのは相当な重労働に違いないが、ご年配のお母さんは「趣味だからやってられる」と微笑んでいた。

【値段】 
うなぎ丼ハーフ 2500円(税込)
(直近訪問日 2025.8.6)

【おすすめ度】
★★★☆☆






2025年8月4日月曜日

美登利

 【場所】
京都府京都市南区西九条東比永城町14-16

【味】
京都の鰻屋は初訪問。蒸さない関西風の地焼きで表面はサクッと焼き上げられている。身には甘めのタレがよく染み込んでいて、粒が立ったご飯との相性も良い。
美味しい蒲焼であるが、残念なのはうなぎ量。うな丼最上級の松でも半身を3分割しただけとははさすがに寂しい限り。もし次に来る事があるとしたら、多少値は張るが二段のうな重を選択したい。

【お店】
京都の名刹 東寺から徒歩10分弱の静かな住宅地に佇むお店。創業約70年とのことだが、現在の店舗は新しく綺麗。テーブルとカウンターで30席ほど。2階には座敷もある模様。レジ横には数々の芸能人のサインが飾られていて、中々の有名店らしい。
とても愛想の良い三代目の店主は、京都の老舗料亭「瓢亭」で修行を積んできたのこと。

【値段】 
うなぎ丼(松)うすすめセット 4300円(税込)
(直近訪問日 2025.8.4)

【おすすめ度】
★★★☆☆











2025年7月17日木曜日

美國屋

 【場所】
東京都中央区日本橋2-5-1

【味】
注文したのは二段重。本来はうなぎとご飯が別々のお重に分けられてお重が二段になっているのだが、これを一緒にした「乗せ」にしてもらう。
この日のうなぎは愛知県一色の「三河鰻咲」。
とろける程柔らかく、最初はあっさり優しい味だが、ほのかな香ばしさと共に脂の甘味と旨味が後から追いかけてきて、豊かなコクが口中に広がる。江戸前流の奥深さを感じさせる絶品蒲焼。
戦後の日本を代表する写真家 土門拳が「日本一」と評するのも頷ける。

【お店】
創業は明治26年。戦後に日本橋に移転し「荒れ果てた日本が再び美しい国になるように」との願いを込めて、屋号も美國屋に改めたとのこと。
現在も当時と同じ場所にあるのだが、一帯の再開発によって、日本橋高島屋新館の一階に組み込まれる形で営業を続けている。店内はテーブル席のみで50席程度。シンプルかつカジュアルな雰囲気で気張らずに食事を楽しむことができる。
またコスパも優れており、最も高額な二段重が4500円、うな丼は2300円で提供している。高級うなぎ店がひしめく界隈にあって、並々ならない営業努力が窺える。

【値段】 
二段重 4500円(税込)
(直近訪問日 2025.7.18)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年4月30日水曜日

鰻家小佐田 成田本店

【場所】
千葉県成田市北須賀1699

【味】
琥珀色に焼かれた身はとても美しく食欲をそそる。お箸を当てるだけでスッと切れるほど柔らかい。
これだけで期待は高まるが、一口食べると何か足りない。味付けが薄いのは良いのだが、後から旨味が追いかけてこない。タレの追加で味は濃くはなるが、身から溢れ出てくる深みのあるコクがあまり感じられない。口コミの評判も良く、お客も多いので、完全に個人の好みの問題になるのだが、自分には少し物足りなさを感じる一品であった。

【お店】
成田の宗吾参道は、多くのうなぎの名店が点在することから、うなぎ街道とも呼ばれている。その中のひとつである「甚平茶屋」が閉店となり、昨年オープンした新しいお店。居抜きのため建物はそのままで熊やイタチ等の剥製も昔のまま飾られている。
平日にもかかわらず店前の駐車場は満車で、脇の広場の駐車場を使わせてもらう。店内も高齢者や女性客を中心に中々の賑わい。鰻重の他には「いくら重」も推しのようだ。
若い店員が多く接客も丁寧で心地良い。精算後に、前回の来店から1ヶ月以内は500円、1ヶ月以上の場合は300円引きの割引券がもらえる。

【値段】 

鰻重福(特上) 3500円(税込)
(直近訪問日 2025..04.30)

【おすすめ度】
★★★☆☆



2025年3月7日金曜日

うなぎの寝床

【場所】
千葉県千葉市中央区新田町25-1

【味】
特上は肉厚うなぎが丸々2尾分。その圧倒的なビジュアルに目が眩む。本日のうなぎは鹿児島県産とのこと。甘く濃厚なタレをたっぷりと纏った身はふっくら柔らか。噛むほどに炭焼の香ばしさと溶け出す脂の旨味が口内に広がる。多古米にもタレが良く馴染んでいて食べ応えは充分。
コスパに優れた野性味溢れる美味しい蒲焼。

【お店】
千葉駅と千葉みなと駅の中間、大通りからは少し外れた閑静な住宅街に佇む新しいお店。オープンは2023年9月とのことで、立派なケヤキの一枚板看板が目印。元々は寿司屋だったそうで、L字のカウンターが8席、座敷席と個室も備えており店名とは異なりまあまあの広さ。
うなぎ料理の他に刺身や天ぷら等の定食もある。お酒や一品料理も充実していて居酒屋としても利用できる。

【値段】 
うな重特上 5500円(税込)
(直近訪問日 2025.03.07)

【おすすめ度】
★★★★☆




2025年2月23日日曜日

川千家(千葉県旭市)

【場所】
千葉県旭市二3346-1


【味】
6年半ぶりの訪問だが美味しさに変わりはない。
ふっくらしていて口の中でとろける柔らかさと きめ細やかさは、まさしく葛飾柴又「川千家」の蒲焼。そして脂は多めで濃厚であるにもかかわらず不思議と後味あっさりなところは「坂東太郎」の特徴なのだろうか。
ご飯は地元千葉県が誇る多古米を使用。粒が立っていて蒲焼とは好相性。
ちなみに蒸さない地焼も選択できる。こちらも地焼きとは思えない程柔らかく、程よい香ばしさも同時に堪能することができる。

【お店】
店内はカウンター5席とテーブル4つ。田畑に囲まれた田舎の鰻屋といった風情のあるこのお店は、あの東京都葛飾区柴又の老舗「川千家」の暖簾分け店であり、なおかつ究極のブランドうなぎ「坂東太郎」を使用しているすごいお店である。
しかも坂東太郎が1尾で3150円という驚愕の安さ。6年半前からほとんど値段が変わっておらず、並々ならぬ営業努力の後が窺える。
接客も丁寧かつ親切で気持ちの良いお店。

【値段】 
うな重特上(写真)  4350円(税込)
(直近訪問日 2025.02.23)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年2月19日水曜日

勝花

 【場所】
千葉県浦安市猫実1-3-33

【味】
これまでに何度となく訪れているが、決して飽きる事なく 行く度に新たな感動を与えてくれる。
身はふわっと柔らかいが、焼きが浅い訳ではなく 丁寧にしっかりと焼き上げられている。この絶妙な焼き加減によって、良質な脂を閉じ込め、濃厚で深みのある旨味を引出している。それでいてクドさを全く感じさせないのは、まさしく職人の技の結晶。
うなぎの素材、焼き加減、タレの味付けなど全てが高いレベルでまとまっていて 非の打ち所がない完璧な蒲焼。

【お店】
地元という事もあり、個人的に最も多くの蒲焼を食べているお店。年に2〜3回程度だが、年数を重ねているので結構な回数になっていることだろう。
創業は昭和50年とのこと。店内は数年前にリニューアルされて綺麗で広々。かつてはドブ川のようであった目の前の境川も綺麗に整備され、ロケーションも悪くない。

【値段】 

特上4300円
(直近訪問日 2025.02.19)

【おすすめ度】
★★★★★





2025年2月1日土曜日

赤坂ふきぬき 成田店

【場所】
千葉県成田市仲町361

【味】
待つこと30分。蓋を開けると琥珀色の美しい照りを纏った1尾半の蒲焼が、ご飯を覆い隠している。
炭火で丁寧に焼き上げられた身は肉厚でふっくら香ばしい。脂も良く乗っているが後味は軽やか。
タレは甘からず辛からず、うなぎの旨味が丁度良い具合に感じられる。ご飯も粒立ちが良く私好み。
バランスの良いとても美味しい蒲焼。

【お店】
創業100年余の赤坂の名店が、うなぎ超激戦地の成田山参道 それも屈指の人気店「駿河屋」の真正面に新店舗をオープン。
店内は4人掛けテーブル席2卓とカウンター7席。この辺りのお店としてはかなり小規模だが、空間を広く取り、銘木の一枚板のカウンターと間接照明、琴の音が高級感と厳かな空気を醸し出している。
大箱で古風な大衆店が多い周囲の老舗とは差別化が図られている。この地域が相乗効果により「うなぎの街」として更に発展することを期待したい。
ちなみに「ふきぬき」は「富貴貫」と書き、高貴でそれを貫くという意味だそうだ。

【値段】 
うな重松 6700円(税込)
(直近訪問日 2025.02.01)

【おすすめ度】
★★★★☆




2025年1月4日土曜日

つるや

【場所】
東京都台東区浅草1-33-2

【味】
注文してから15分程度で配膳。蒲焼にしては早過ぎだが、お客も多く見込みで調理していると思われる。身は柔らかく脂も乗っていてトロッとした食感。タレはあっさりで川魚の旨みと香りを堪能することができる。ご飯は少なめ。
美味しい蒲焼は数多くあるが、「こういうのでいいんだ」と思わせる奇をてらわないシンプルな正統派の江戸前流蒲焼。

【お店】
松屋浅草から程近く、賑やかな新仲店通りの入口付近に軒を構える うなぎと天ぷらのお店。店頭の食品サンプルのショーケースが昭和を感じさせる。創業90余年、浅草うまいもの会加盟の老舗。小説家の永井荷風が通ったお店としても知られている。
1階2階はテーブル席と小座敷、3階は座敷となっており、少人数から団体まで幅広く利用できる。

【値段】 

上鰻重 5280円(税込)
(直近訪問日 2025.01.05)

【おすすめ度】
★★★★★