ナーダ・ヨーガは古代インドの哲学的構造であり、同時に医学やヨーガの形式でもある。この構造の理論的・実践的要素の基礎は「全ての宇宙とそこに在る人間を含む全てのものは、ナーダと呼ばれる音の振動から成り立つ」という前提の上にある。この概念は宇宙を形作る物質や粒子よりも音のエネルギーを重視する事を意味する。 ナーダ・ヨーガは音への崇敬と反応の方法でもある。この文脈での音と音楽は、感覚的なものや喜びの感覚を与えるものというだけでなく、内外両宇宙との深い統合の潜在的媒体でもある。 ナーダ・ヨーガの音の振動と余韻は様々な物理的・精神的苦痛の緩和にも用いられる。チャクラと呼ばれるエネルギーの中心と見做されるものへの気付きの度合いを高めるのにも用いられる。 音楽は殆どのインドの聖者や預言者が涅槃に達する為の重要で力強い道具として用いている。ここでいう聖者や預言者は、シャガラジャ、カビール、ミーラ、ナムデヴ、プランダラ・ダーサ、ツカラムを含む。