サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は、宿主細胞の核内に光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目(owl eye)」様の特徴的な封入体を形成することを特徴とするヘルペスウイルスの総称である。ウイルスの分類上はサイトメガロウイルス属とし、この場合ヒトを含む霊長類を宿主とするものに限るが、総称としては近縁で齧歯類を宿主とするムロサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus;MCMV)も含める。 ヒトに感染するのはヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus;HCMV)で、これはヒト以外の動物には感染しない。HCMVの学名はヒトヘルペスウイルス5型(human herpesvirus-5;HHV-5)である。 この項では主にこのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)について記述し、ウイルス学の項以外では簡単のためサイトメガロウイルス(CMV)と略して呼称する。 CMVは通常、幼小児期に唾液・尿などの分泌液 を介して不顕性感染し、その後潜伏・持続感染によって人体に終生寄生することで人類集団に深く浸透している。日本では、成人期での抗体保有率は 60 % 〜 90 %と高い。 健常人では脅威とならないが、免疫の未熟な胎児・免疫不全状態の臓器移植・AIDS患者・免疫抑制療法などではウイルス増殖による細胞及び臓器傷害で生命を脅かす。

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  • サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は、宿主細胞の核内に光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目(owl eye)」様の特徴的な封入体を形成することを特徴とするヘルペスウイルスの総称である。ウイルスの分類上はサイトメガロウイルス属とし、この場合ヒトを含む霊長類を宿主とするものに限るが、総称としては近縁で齧歯類を宿主とするムロサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus;MCMV)も含める。 ヒトに感染するのはヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus;HCMV)で、これはヒト以外の動物には感染しない。HCMVの学名はヒトヘルペスウイルス5型(human herpesvirus-5;HHV-5)である。 この項では主にこのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)について記述し、ウイルス学の項以外では簡単のためサイトメガロウイルス(CMV)と略して呼称する。 CMVは通常、幼小児期に唾液・尿などの分泌液 を介して不顕性感染し、その後潜伏・持続感染によって人体に終生寄生することで人類集団に深く浸透している。日本では、成人期での抗体保有率は 60 % 〜 90 %と高い。 健常人では脅威とならないが、免疫の未熟な胎児・免疫不全状態の臓器移植・AIDS患者・免疫抑制療法などではウイルス増殖による細胞及び臓器傷害で生命を脅かす。 先天性感染(胎児の際の母子感染)を起こすと、そのうち日本では約 20 %が子宮内発育遅延・肝脾腫・小頭症などの顕性感染を呈し、残りの 10 〜 20% の不顕性感染児で発育期に感音性難聴や精神発達遅滞等の機能障害を生ずる。 CMVは免疫の老化(疲弊)と関わっており、加齢に伴ってCMV以外の感染症に対する防御能の低下をきたす。 またCMVが腫瘍細胞に感染すると、腫瘍細胞が腫瘍免疫や抗癌剤に対する抵抗性を獲得して悪性度を増す可能性がある(oncomodulation)。 1990年には Chee らによってHCMV の全塩基配列が決定されている。 (ja)
  • サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は、宿主細胞の核内に光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目(owl eye)」様の特徴的な封入体を形成することを特徴とするヘルペスウイルスの総称である。ウイルスの分類上はサイトメガロウイルス属とし、この場合ヒトを含む霊長類を宿主とするものに限るが、総称としては近縁で齧歯類を宿主とするムロサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus;MCMV)も含める。 ヒトに感染するのはヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus;HCMV)で、これはヒト以外の動物には感染しない。HCMVの学名はヒトヘルペスウイルス5型(human herpesvirus-5;HHV-5)である。 この項では主にこのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)について記述し、ウイルス学の項以外では簡単のためサイトメガロウイルス(CMV)と略して呼称する。 CMVは通常、幼小児期に唾液・尿などの分泌液 を介して不顕性感染し、その後潜伏・持続感染によって人体に終生寄生することで人類集団に深く浸透している。日本では、成人期での抗体保有率は 60 % 〜 90 %と高い。 健常人では脅威とならないが、免疫の未熟な胎児・免疫不全状態の臓器移植・AIDS患者・免疫抑制療法などではウイルス増殖による細胞及び臓器傷害で生命を脅かす。 先天性感染(胎児の際の母子感染)を起こすと、そのうち日本では約 20 %が子宮内発育遅延・肝脾腫・小頭症などの顕性感染を呈し、残りの 10 〜 20% の不顕性感染児で発育期に感音性難聴や精神発達遅滞等の機能障害を生ずる。 CMVは免疫の老化(疲弊)と関わっており、加齢に伴ってCMV以外の感染症に対する防御能の低下をきたす。 またCMVが腫瘍細胞に感染すると、腫瘍細胞が腫瘍免疫や抗癌剤に対する抵抗性を獲得して悪性度を増す可能性がある(oncomodulation)。 1990年には Chee らによってHCMV の全塩基配列が決定されている。 (ja)
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  • 感染細胞(中央)には特徴的な核内封入体が見られる。 (ja)
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  • サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は、宿主細胞の核内に光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目(owl eye)」様の特徴的な封入体を形成することを特徴とするヘルペスウイルスの総称である。ウイルスの分類上はサイトメガロウイルス属とし、この場合ヒトを含む霊長類を宿主とするものに限るが、総称としては近縁で齧歯類を宿主とするムロサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus;MCMV)も含める。 ヒトに感染するのはヒトサイトメガロウイルス(human cytomegalovirus;HCMV)で、これはヒト以外の動物には感染しない。HCMVの学名はヒトヘルペスウイルス5型(human herpesvirus-5;HHV-5)である。 この項では主にこのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)について記述し、ウイルス学の項以外では簡単のためサイトメガロウイルス(CMV)と略して呼称する。 CMVは通常、幼小児期に唾液・尿などの分泌液 を介して不顕性感染し、その後潜伏・持続感染によって人体に終生寄生することで人類集団に深く浸透している。日本では、成人期での抗体保有率は 60 % 〜 90 %と高い。 健常人では脅威とならないが、免疫の未熟な胎児・免疫不全状態の臓器移植・AIDS患者・免疫抑制療法などではウイルス増殖による細胞及び臓器傷害で生命を脅かす。 (ja)
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