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04月
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Playground 校庭(4/12~4/25)
CATEGORY[ 上映終了 ]
ここは、わたしたちの世界
監督・脚本
ローラ・ワンデル
出演
マヤ・バンダービーク
ガンター・デュレ
カリム・ルクルー
ローラ・ファーリンデン
原題:
Un monde
製作:
2021年製作/72分/G/ベルギー
配給:
アルバトロス・フィルム
7歳のノラが小学校に入学した。しかし人見知りしがちで、友だちがひとりもいないノラには校内に居場所がない。やがてノラは同じクラスのふたりの女の子と仲良しになるが、3つ年上の兄アベルが大柄なガキ大将にイジメられている現場を目の当たりにし、ショックを受けてしまう。優しい兄が大好きなノラは助けたいと願うが、なぜかアベルは「誰にも言うな」「そばに来るな」と命じてくる。その後もイジメは繰り返され、一方的にやられっぱなしのアベルの気持ちが理解できないノラは、やり場のない寂しさと苦しみを募らせていく。そして唯⼀の理解者だった担任の先生が学校を去り、友だちにのけ者にされて再びひとりぼっちになったノラは、ある日、校庭で衝撃的な光景を目撃するのだった……。
大人にはうかがい知れない、子供の視点で描かれる学校
その悪夢のような日常をサバイブする7歳の少女の葛藤、
そして恐怖にも似た不安心理をあぶり出す鮮烈な映像世界
大勢の子供たちが教室で学び、休み時間に校庭を元気よく駆け回る学校は、みずみずしい生命力に満ちあふれた場所だ。ところが小さな子供の目を通してその日常を写し取ると、多くの大人たちが抱くイメージは打ち砕かれる。ベルギー映画『Playground/校庭』は、どこにでもありそうな小学校の敷地内に舞台を限定し、全編を主人公である7歳の少女の視点で紡ぎ上げた生粋の“学校”映画だ。その徹底された演出手法は、さながら没入型のスリラー映画のような並外れた緊迫感と臨場感を生み、子供にとってあまりにも過酷な現実を生々しくあぶり出す。
1984年、ブリュッセル生まれのローラ・ワンデル監督が鮮烈な長編デビューを飾った本作は、第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。さらにロンドン映画祭で新人監督賞に輝くなど、世界中で29の賞を獲得し(2024年11月時点)、第94回米アカデミー賞国際長編映画賞のショートリストにも選出された。大人にはうかがい知れない子供の世界を、斬新なスタイルで捉えたその映像世界は、驚くべき密度の映画体験を実現し、アーティスティックな完成度の高さにおいても傑出した出来ばえとなった。
全編にみなぎる濃密にしてサスペンスフルな臨場感
巨匠、ダルデンヌ兄弟に認められたベルギーの新たな才能、
ローラ・ワンデル監督が創出した没入型の映画体験
本編わずか72分のミニマルな本作は、初登校の日を迎えた主人公ノラが兄のアベルに抱かれて泣きじゃくっているファースト・ショットから、観る者の目を釘付けにする。内気なノラにとって見知らぬ子供たちがあちこちで叫び声を上げ、無闇に走り回っている学校は、まさにカオスそのものだ。その未知なる混乱のまっただ中に投げ出されたノラは、どうやって友だちを見つけ、集団生活に馴染んでいくのか。しかも他者との関係を育む過程においては、同級生に残酷なことを言われたり、ふとしたことで仲間外れにされることもある。「この作品の目的は、イジメの原因を追及することではない。誰かを非難することでもない」。そう語るワンデル監督は、社会の縮図でもある学校をあたかも悪夢のように描き、そこでサバイブするためにはもう純真無垢ではいられない子供たちの葛藤と恐怖、そして幾多の苦難の果てに変化、成長を遂げていく姿を映し出した。
(C)2021 Dragons Films/ Lunanime
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