- バレンシアガのアグリースニーカーブームが収束するなか、ホカやオンがハイブランドと続々とコラボを展開
- ホカはマルニとの新作やセレブ人気、スノーファーの投入などでファッション層を取り込もうとしている
- ナイキやアディダスの市場シェアが減少する一方、ホカやオンは業績好調で成長を続けている
バレンシアガ(Balenciaga)のトリプルS(Triple S)に代表される「大きなアグリースニーカー」の時代は終わったかもしれないが、ファッションとスニーカーの熱い関係はまだ終わっていない。ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)のような伝統的なスニーカーブランドは長い間大物ファッションデザイナーを魅了してきたが、今やデザイナーとコラボレーションし、ランウェイに登場しているのは、ホカ(Hoka)やオンランニング(On Running)といった勢いのある新興ブランドだ。
ホカ×マルニがファッション層を狙う
3月初め、スニーカー界の新星ホカが、イタリアのハイファッションブランドのマルニ(Marni)との新たなコラボレーションを発表した。ホカの人気モデル、ボンディB3LS(Bondi B3LS)をラグジュアリーにアレンジしたそのモデルは4月初旬に発売予定で、ホカが昨年開始した数々のコラボレーションに続くものだ。これまでにも、フリーピープル(Free People)、ジュンヤワタナベ(Junya Watanabe)、リフォーメーション(Reformation)などとのコラボレーションがある。また、ハリー・スタイルズ、オリビア・ワイルド、カイリー・ジェンナー、ケイト・ハドソンといったメジャーなセレブリティもホカを愛用している。
ホカのパートナーシップおよびコラボレーションのグローバル責任者であるトーマス・サイカナ氏は、これらのリリースは「製品自体の変化というよりも、顧客に製品を見せる方法」の変化を表していると米Glossyに語った。言い換えれば、マルニ×ホカのスニーカーとホカの主力商品シリーズに大きな違いはない。違うのは、このシューズが誰をターゲットにしているかという点だ。サイカナ氏いわく、このシューズは、ホカの既存のランナーやアスリート層を補完するために、よりファッション志向のシューズ愛好家を取り込むことを意図している。続きを読む
- バレンシアガのアグリースニーカーブームが収束するなか、ホカやオンがハイブランドと続々とコラボを展開
- ホカはマルニとの新作やセレブ人気、スノーファーの投入などでファッション層を取り込もうとしている
- ナイキやアディダスの市場シェアが減少する一方、ホカやオンは業績好調で成長を続けている
バレンシアガ(Balenciaga)のトリプルS(Triple S)に代表される「大きなアグリースニーカー」の時代は終わったかもしれないが、ファッションとスニーカーの熱い関係はまだ終わっていない。ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)のような伝統的なスニーカーブランドは長い間大物ファッションデザイナーを魅了してきたが、今やデザイナーとコラボレーションし、ランウェイに登場しているのは、ホカ(Hoka)やオンランニング(On Running)といった勢いのある新興ブランドだ。
ホカ×マルニがファッション層を狙う
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3月初め、スニーカー界の新星ホカが、イタリアのハイファッションブランドのマルニ(Marni)との新たなコラボレーションを発表した。ホカの人気モデル、ボンディB3LS(Bondi B3LS)をラグジュアリーにアレンジしたそのモデルは4月初旬に発売予定で、ホカが昨年開始した数々のコラボレーションに続くものだ。これまでにも、フリーピープル(Free People)、ジュンヤワタナベ(Junya Watanabe)、リフォーメーション(Reformation)などとのコラボレーションがある。また、ハリー・スタイルズ、オリビア・ワイルド、カイリー・ジェンナー、ケイト・ハドソンといったメジャーなセレブリティもホカを愛用している。
ホカのパートナーシップおよびコラボレーションのグローバル責任者であるトーマス・サイカナ氏は、これらのリリースは「製品自体の変化というよりも、顧客に製品を見せる方法」の変化を表していると米Glossyに語った。言い換えれば、マルニ×ホカのスニーカーとホカの主力商品シリーズに大きな違いはない。違うのは、このシューズが誰をターゲットにしているかという点だ。サイカナ氏いわく、このシューズは、ホカの既存のランナーやアスリート層を補完するために、よりファッション志向のシューズ愛好家を取り込むことを意図している。
「上位5%」を狙う──コラボ時代のターゲティング
とはいえサイカナ氏は、コラボレーションのクロスポリネーション(相互作用)は罠にもなりうると指摘した。コラボレーションのメリットのひとつは、通常ではリーチできないようなオーディエンスにアクセスできることだが、あまりにも範囲を広げすぎると時間の無駄になりかねない。
「コラボについての古い考え方はこうだ。あなたにはオーディエンスがいて、私にもオーディエンスがいる。それをマージしよう」とサイカナ氏は言う。「私はチームに対して、上位5%の顧客および潜在的な顧客に対して多大なサービスを提供する方がよいのだと、強調し始めている」。
マルニの買い物客は、量より質にこだわるマルニの姿勢からその上位5%の一部だとサイカナ氏は言う。マルニのフットウェアは、100%カーフレザーのような素材を使用してイタリアでハンドメイドされる傾向にある。
ランウェイも熱狂するコラボとスノーファー旋風
バレンシアガとプーマのコラボレーション
ハイファッションとスニーカーのクロスオーバーは熱気を帯びている。2月には、VANS(バンズ)がヴァレンティノ(Valentino)と、バレンシアガがプーマ(Puma)と、コムデギャルソン(Commes des Garcons)がニューバランス(New Balance)と、バブアー(Barbour)がクロックス(Crocs)とコラボレーションした。こうしたコラボの多くは、今シーズンのパリファッションウィーク(Paris Fashion Week)でのヴァレンティノのショーで披露されたVANSxヴァレンティノのシューズのように、世界最大のランウェイで披露されている。
また、スニーカーとローファーを組み合わせた「スノーファー(snoafer)」も登場しており、ふたつの世界をひとつの個性的なスタイルに融合させている。これもまたホカがスピードローファー(Speed loafer)で取り入れたトレンドで、「ランナーズワールド(Runner’s World)」誌によれば、このスノーファーはその奇抜な外観から「常軌を逸した」と評されている。
スニーカー市場の覇権争いと成長する新興ブランド
だがこうした実験は、ホカやオン(On)のようなブランドが、スニーカー市場の巨人であるナイキやアディダスから市場シェアを奪うことにも貢献している。3月20日、ナイキは売上高が11%減と、過去5年間で最悪の減収を報告した。アディダスも直近の決算では予想よりも好調だったとはいえ、スニーカー市場におけるシェアは低下している。
そのため、ホカやオンといったブランドがより大きなシェアを手にすることになった。ホカの親会社であるデッカーズブランズ(Deckers Brands)は、2月の直近決算後に売上が急増した。一方、オンは3月初めに2024年の通期利益を発表、30%近い成長を示した。3月初めに発表されたマッキンゼー(McKinsey)と世界スポーツ用品産業連盟(the World Federation of the Sporting Goods Industry)の報告書によると、ナイキの市場シェアが20%減少した一方で、デッカーズは80%、オンランニングは147%増加している。
ホカは成長戦略の一環としてハイファッションとのつながりをアピールした。オンは2022年以降、スペインのラグジュアリーブランド、ロエベ(Loewe)とのコラボレーションを続けている。
「ファッションとラグジュアリーブランドが追い上げてきている」と、オンの共同創業者でエグゼクティブ共同会長のデビッド・オリャバン氏は、3月4日に行われた決算説明会で語った。「プレミアムスポーツブランドだけが、パフォーマンスと文化的関連性の交差点に完璧に位置している。我々は単に波に乗っているのではなく、その中心にいるのだ」。
「今がいちばん面白い」広がり続けるフットウェアの可能性
トリプルSの時代は終わったかもしれないが、ハイファッションとスニーカーのコラボレーションはこれからも続いていくことは間違いない、とサイカナ氏は言う。
「今はフットウェア業界が本当に楽しい時代だ」とサイカナ氏は述べた。「スニーカーローファーの瞬間は白熱している。当社のローファー、スピード(Speed)はメンズファッションウィーク中にバイラルになり、45分で完売した。ブーツやローファー、あるいはスニーカーを問わず、フットウェアの幅広い選択肢が求められている」。
[原文:Fashion Briefing: High fashion’s love affair with sneaker brands like Hoka still runs hot]
DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida、編集:戸田美子)
Image via Marni/Balenciaga