1970年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ
1970年のアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ | |||||||
| |||||||
シリーズ情報 | |||||||
試合日程 | 10月3日–5日 | ||||||
観客動員 | 3試合合計:8万1945人 1試合平均:2万7315人 | ||||||
殿堂表彰者 | アール・ウィーバー(BAL監督) ジム・パーマー(BAL投手) ブルックス・ロビンソン(BAL内野手) フランク・ロビンソン(BAL外野手) バート・ブライレブン(MIN投手) ロッド・カルー(MIN内野手) ジム・カート(MIN投手) ハーモン・キルブルー(MIN内野手) トニー・オリバ(MIN外野手) | ||||||
チーム情報 | |||||||
ボルチモア・オリオールズ(BAL) | |||||||
シリーズ出場 | 2年連続2回目 | ||||||
GM | ハリー・ダルトン | ||||||
監督 | アール・ウィーバー | ||||||
シーズン成績 | 108勝54敗・勝率.667 東地区優勝 | ||||||
| |||||||
ミネソタ・ツインズ(MIN) | |||||||
シリーズ出場 | 2年連続2回目 | ||||||
GM | カルビン・グリフィス | ||||||
監督 | ビル・リグニー | ||||||
シーズン成績 | 西地区優勝 | 98勝64敗・勝率.605||||||
| |||||||
| |||||||
ワールドシリーズ |
1970年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月3日に開幕した。アメリカンリーグの第2回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 2nd American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、同日から5日にかけて計3試合が開催された。その結果、ボルチモア・オリオールズ(東地区)がミネソタ・ツインズ(西地区)を3勝0敗で下し、2年連続4回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
レギュラーシーズンでは両球団は12試合対戦し、ツインズが7勝5敗と勝ち越している[1]。しかし今シリーズは、同じ顔合わせだった前年と同様に、オリオールズが初戦から3連勝のいわゆる "スウィープ" で突破した。ポストシーズンのスウィープ史上、全試合で点差が4点以上開いていたのは今シリーズが初めて[2]。オリオールズ先発投手のマイク・クェイヤーは、初戦の4回表に打席で満塁本塁打を放った。投手による満塁本塁打はポストシーズン史上初である[3]。このあとオリオールズは、ワールドシリーズでもナショナルリーグ王者シンシナティ・レッズを4勝1敗で下し、4年ぶり2度目の優勝を成し遂げた。
今シリーズでは、MLB審判員の労働組合がポストシーズン出場給の増額を求め、初戦限定のストライキを決行したため、その日だけは引退した元審判員やマイナーリーグの審判員らが出場した。第2戦以降は通常の審判員が業務に戻り、労使交渉は7日に妥結した[4]。
試合結果
[編集]1970年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月3日に開幕し、3日間で3試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 | |
---|---|---|---|---|---|---|
10月 | 3日(土)第1戦 | ボルチモア・オリオールズ | 10-6 | ミネソタ・ツインズ | メトロポリタン・スタジアム | |
10月 | 4日(日)第2戦 | ボルチモア・オリオールズ | 11-3 | ミネソタ・ツインズ | ||
10月 | 5日(月)第3戦 | ミネソタ・ツインズ | 1-6 | ボルチモア・オリオールズ | メモリアル・スタジアム | |
優勝:ボルチモア・オリオールズ(3勝0敗 / 2年連続4度目) |
第1戦 10月3日
[編集]映像外部リンク | |
---|---|
MLB.comによる動画 | |
4回表、オリオールズの先発投手マイク・クェイヤーが打席で満塁本塁打を放ち自らを援護(27秒) |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ボルチモア・オリオールズ | 0 | 2 | 0 | 7 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 10 | 13 | 0 |
ミネソタ・ツインズ | 1 | 1 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 11 | 2 |
- 勝利:ディック・ホール(1勝)
- 敗戦:ジム・ペリー(1敗)
- 本塁打
BAL:マイク・クェイヤー1号満塁、ドン・ビュフォード1号ソロ、ブーグ・パウエル1号ソロ
MIN:ハーモン・キルブルー1号ソロ - 審判
[球審]ジョニー・スティーブンス
[塁審]一塁: ビル・ディーガン、二塁: ダロルド・サチェル、三塁: チャーリー・ベリー - 昼間試合 試合時間: 2時間36分 観客: 2万6847人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
ボルチモア・オリオールズ | ミネソタ・ツインズ | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
打順 | 守備 | 選手 | 打席 | 打順 | 守備 | 選手 | 打席 | ||
1 | 左 | D・ビュフォード | 両 | 1 | 中 | C・トーバー | 右 | ||
2 | 中 | P・ブレアー | 右 | 2 | 遊 | L・カルデナス | 右 | ||
3 | 一 | B・パウエル | 左 | 3 | 三 | H・キルブルー | 右 | ||
4 | 右 | F・ロビンソン | 右 | 4 | 右 | T・オリバ | 左 | ||
5 | 捕 | E・ヘンドリックス | 左 | 5 | 左 | B・アリエイ | 右 | ||
6 | 三 | B・ロビンソン | 右 | 6 | 一 | R・リース | 左 | ||
7 | 二 | D・ジョンソン | 右 | 7 | 捕 | G・ミッターワルド | 右 | ||
8 | 遊 | M・ベランガー | 右 | 8 | 二 | D・トンプソン | 右 | ||
9 | 投 | M・クェイヤー | 左 | 9 | 投 | J・ペリー | 両 | ||
先発投手 | 投球 | 先発投手 | 投球 | ||||||
M・クェイヤー | 左 | J・ペリー | 右 |
第2戦 10月4日
[編集]1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ボルチモア・オリオールズ | 1 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 11 | 13 | 0 |
ミネソタ・ツインズ | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 2 |
- 勝利:デーブ・マクナリー(勝)
- 敗戦:トム・ホール(1敗)
- 本塁打
BAL:フランク・ロビンソン1号2ラン、デービー・ジョンソン1号3ラン
MIN:ハーモン・キルブルー2号2ラン、トニー・オリバ1号ソロ - 審判
[球審]ビル・ハラー
[塁審]一塁: ジム・オドム、二塁: ジェリー・ニューデッカー、三塁: ジム・ホノチック
[外審]左翼: マーティー・スプリングステッド、右翼: ラス・ゲーツ - 昼間試合 試合時間: 2時間59分 観客: 2万7490人 気温: 73°F(22.8°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
ボルチモア・オリオールズ | ミネソタ・ツインズ | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
打順 | 守備 | 選手 | 打席 | 打順 | 守備 | 選手 | 打席 | ||
1 | 遊 | M・ベランガー | 右 | 1 | 中 | C・トーバー | 右 | ||
2 | 中 | P・ブレアー | 右 | 2 | 遊 | L・カルデナス | 右 | ||
3 | 右 | F・ロビンソン | 右 | 3 | 三 | H・キルブルー | 右 | ||
4 | 一 | B・パウエル | 左 | 4 | 右 | T・オリバ | 左 | ||
5 | 左 | M・レッテンマンド | 右 | 5 | 左 | B・アリエイ | 右 | ||
6 | 三 | B・ロビンソン | 右 | 6 | 捕 | G・ミッターワルド | 右 | ||
7 | 二 | D・ジョンソン | 右 | 7 | 一 | R・レニック | 右 | ||
8 | 捕 | A・エチェバレン | 右 | 8 | 二 | D・トンプソン | 右 | ||
9 | 投 | D・マクナリー | 右 | 9 | 投 | T・ホール | 左 | ||
先発投手 | 投球 | 先発投手 | 投球 | ||||||
D・マクナリー | 左 | T・ホール | 左 |
第3戦 10月5日
[編集]1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ミネソタ・ツインズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 2 |
ボルチモア・オリオールズ | 1 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | X | 6 | 10 | 0 |
- 勝利:ジム・パーマー(1勝)
- 敗戦:ジム・カート(1敗)
- 本塁打
BAL:デービー・ジョンソン2号ソロ - 審判
[球審]ジム・オドム
[塁審]一塁: ジェリー・ニューデッカー、二塁: マーティー・スプリングステッド、三塁: ジム・ホノチック
[外審]左翼: ラス・ゲーツ、右翼: ビル・ハラー - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後1時10分 試合時間: 2時間20分 観客: 2万7608人 気温: 66°F(18.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
ミネソタ・ツインズ | ボルチモア・オリオールズ | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
打順 | 守備 | 選手 | 打席 | 打順 | 守備 | 選手 | 打席 | ||
1 | 左 | C・トーバー | 右 | 1 | 左 | D・ビュフォード | 両 | ||
2 | 遊 | L・カルデナス | 右 | 2 | 中 | P・ブレアー | 右 | ||
3 | 右 | T・オリバ | 左 | 3 | 右 | F・ロビンソン | 右 | ||
4 | 三 | H・キルブルー | 右 | 4 | 一 | B・パウエル | 左 | ||
5 | 中 | J・ホルト | 左 | 5 | 三 | B・ロビンソン | 右 | ||
6 | 捕 | P・ラトリフ | 左 | 6 | 二 | D・ジョンソン | 右 | ||
7 | 一 | R・リース | 左 | 7 | 捕 | A・エチェバレン | 右 | ||
8 | 二 | D・トンプソン | 右 | 8 | 遊 | M・ベランガー | 右 | ||
9 | 投 | J・カート | 左 | 9 | 投 | J・パーマー | 右 | ||
先発投手 | 投球 | 先発投手 | 投球 | ||||||
J・カート | 左 | J・パーマー | 右 |
評価
[編集]『ハードボール・タイムズ』のクリス・ジャフは2012年10月、歴代のポストシーズン各シリーズのうち、優勝球団が初戦から全勝する "スウィープ" のシリーズを対象に「敗退球団がリードしたイニング数が10以上なら0ポイント、5以上10未満なら2ポイント、……全くなければ25ポイント」「1試合平均の得点差が2未満なら0ポイント、2以上2.5未満なら1ポイント、……3以上3.5未満なら5ポイント、以降は0.5点ごとに2ポイントずつ加算」などの条件を設定し、つまらなさを算出した。その結果、今シリーズは58ポイントを獲得し、同年の両リーグ優勝決定戦まで計67度のスウィープ中2位タイとなった[注 1][2]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 1位は1989年のワールドシリーズで67ポイント。58ポイントで今シリーズと並んだのは、1981年のアメリカンリーグ優勝決定戦である。
出典
[編集]- ^ "1970 Minnesota Twins Schedule," Baseball-Reference.com. 2020年11月22日閲覧。
- ^ a b Chris Jaffe, "The 10 worst postseason sweeps ever," The Hardball Times, October 22, 2012. 2021年2月7日閲覧。
- ^ Bill Stetka, "50 Years Later, Orioles' 1970 Title Remains Special," MLB.com, September 18, 2020. 2020年11月22日閲覧。
- ^ Larry Granillo, "Wezen-Ball: Replacement Umpires," Baseball Prospectus, October 5, 2011. 2020年11月22日閲覧。