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名古屋市交通局N3000形電車

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名古屋市営地下鉄N3000形電車
N3102編成
(2013年2月9日 岩倉駅引上線)
基本情報
運用者 名古屋市交通局
製造所 日立製作所笠戸事業所(N3101編成)
日本車輌製造(N3102編成以降)
製造年 2011年 -
運用開始 2012年3月16日
投入先 鶴舞線
主要諸元
編成 6両編成(MT比 3M3T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V架空電車線方式
最高運転速度 75 km/h(地下)[3]
100 km/h(地上)[1][3]
設計最高速度 120 km/h[3]
起動加速度 3.0 km/h/s[1]
減速度(常用) 3.5 km/h/s[3]
減速度(非常) 4.0 km/h/s[3]
車両定員 136名(うち座席45名・先頭車)[1]
147名(うち座席51名・中間車)[1]
全長 20,000 mm[1]
車体長 先頭車 19,400 mm
中間車 19,300 mm[2]
全幅 2,746 mm[1]
車体幅 2,746 mm[2]
全高 4,067 mm[1]
車体高 先頭車 3,620 mm
中間車 3,600 mm[2]
台車 ボルスタレス空気ばね台車[1]
電動台車 SS176M[4]
付随台車 SS176T[4]
主電動機 三相かご形誘導電動機 HS32534-19RB[4]
主電動機出力 170 kW[1]
駆動方式 歯車形軸継手平行カルダン(WNドライブ)[1]
歯車比 16:99 (6.19)[4]
編成出力 2,040 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
(2レベルPWM制御、PGセンサレスベクトル制御IGBT主回路素子[4][5]
制御装置 東洋電機製造 RG-6011-A-M
制動装置 回生ブレーキ併用遅れ込め制御付きATC連動電気指令式空気ブレーキ[5]
保安ブレーキ[5]EB装置
保安装置 車内信号ATC[6]
M形ATS[6]
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名古屋市交通局N3000形電車(なごやしこうつうきょくN3000がたでんしゃ)は、2011年平成23年)に名古屋市営地下鉄鶴舞線用として登場した名古屋市交通局通勤形電車

名古屋鉄道犬山線豊田線との直通運転にも使用されている。

車両概要

鶴舞線としては3050形以来17年ぶりの新形式であり、1977年伏見 - 八事間開業から使用された3000形の置き換えのため、2011年(平成23年)から順次投入されている[7]

技術の進歩や社会のニーズに対応し[7]、火災や事故の対策に関する省令などが改正されたことを反映した[7]

車体

左:N3101編成、右:N3102編成
(2012年6月12日 日進駅)

先頭車・中間車とも全長20,000mmで、車体幅は2,746mm[注釈 1]、左右の車側灯間の幅は2,780mmである[8]。なお、製造コスト削減のため、製造メーカーごとに車体構造が異なっている。N3101編成のアルミニウム合金製の車体は名古屋市営地下鉄の車両で初めてのダブルスキン構造A-train[7]を、N3102編成以降のステンレス鋼製の車体は日車式ブロック工法(日車式SUSブロック構体)[9]をそれぞれ採用した。正面はN3101編成のみ四隅に丸みを持たせた形状[1]、N3102編成以降は四隅に折線を付けた形状で、非常用の片開き式プラグドアを運転台スペース確保のため、車体中心よりずらして配置している[7]。車体は無塗装で、鶴舞線のラインカラーの青帯を配している[7]が、従来鶴舞線で運用されていた3000形3050形と異なり、窓の上部にも青帯を配した[1]。なおN3101編成のアルミ車体とN3102編成以降のステンレス車体の異差については入札結果によるものであり、現在、名古屋市交通局の地下鉄車両としては唯一アルミ車とステンレス車が混在する形式である。

第1編成は日立製で、アルミ合金車体で製造されている。
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第1編成は日立製で、アルミ合金車体で製造されている。
第2編成以降は日車製のステンレス車体となっている。

側面客用扉は各車両とも4箇所で、天地寸法は1,850mmで扉幅は1,300mmとした[8]。客室側面窓は、扉間が2連式の下降窓、車端部の窓は固定窓とした[7]種別・行先表示器は名古屋市交通局の地下鉄車両で初めてのフルカラーLED式とされ、急行を含む名鉄様式での表示も可能である[7]。全ての車両連結部間の貫通路には通常時に閉じる構造の扉を設けた[1]

車内

名古屋市交通局N3000形車内
(2013年2月9日 N3102F)

地下鉄の車両という条件から、車内の配色は天井・壁面とも明るい白系統の模様入り化粧板を採用し、床は有松絞りをモチーフとしたデザインとした[7]。また、扉付近の床材は警戒色である黄色とし[7]、各扉に進行方向と乗車位置番号・号車番号を点字で表示している[1]

座席はオールロングシートで、座席は一人あたりの幅を460mmと設定し、座り心地を考慮した簡易バケットタイプとした[1]。客用扉間に7人がけ・客用扉と連結面の間には3人がけの座席が配置される[1]

客用扉の鴨居部分に千鳥配置で液晶ディスプレイ(LCD)方式(通称「ハッチービジョン」)を各車両4台ずつ設置している[6]。また、各客用扉上部には扉開閉動作を車内外に知らせるためのランプを、戸閉装置には扉に人や物が挟まった場合に容易に脱出できるように、戸閉力を約4分の1に抑える戸挟み制御器をそれぞれ設けた[1]

全ての車両に車椅子スペースを設け、非常通報器を設置した[1]

右側のディスプレイの駅名表示は、漢字→ひらがな→ローマ字→漢字…を回転させながらアニメーションのような表示をする。ホーム案内も、進行方向から向かうような感じで表示している。この技術は東京地下鉄8000系後期更新車、16000系大阪市営地下鉄30000系御堂筋線仕様車、都営地下鉄10-300形一部編成、12-600形一部編成にも採用されており、名古屋市営地下鉄では桜通線6050形2次車に続き、2車種目の採用となる(東山線N1000形N1105編成以降も同様)。

名鉄線において車内巡回中の車掌がドアの開閉を行いやすいように、3000形、3050形に引き続き、中間車両の左右1カ所ずつに車掌スイッチが設けられている。

車掌から運転士への発車の合図等に使用される信鈴は、3050形まで電磁式の鐘とブザーを使い分けていた (地下鉄線内はブザー1回、名鉄線内では鐘2回) が、本形式からはブザーのみ (地下鉄線内では1回、名鉄線内では2回) とされている。3050形までと同様、運転室内だけでなく全車両で信鈴を聞くことができるようになっている。

走行機器など

運転台は、3050形と同様に進行方向左側に配置した。主幹制御器はブレーキ設定器と一体となった右手操作型ワンハンドル式を採用、車両情報装置のタッチパネル式液晶モニタを配置した[7]。この車両情報装置は、先頭車両に搭載した中央ユニットと中間車床下に搭載した端末ユニットを、ラダー形伝送回路で接続された伝送ネットワークを用いて結び、他の機器とのデータ送受信を行うことにより、機器の制御や監視・検査、さらには乗客サービスをサポートするシステムで、制御装置やブレーキの制御を行う機能、車内案内表示・自動放送・空調の制御を行う「乗務員支援機能」、主要機器の車上検査を行う機能、車両で停止している状態でも模擬走行状態として各種案内設備やデータ収集・ICカードへの転送を行う「検修支援機能」、運転状況を記録する機能などを有している[6]。また、運転制御指令の送受信回路は冗長性を高めるために完全二重系とした[6]保安装置は鶴舞線内で使用する車内信号式自動列車制御装置(CS-ATC)相互直通先の名古屋鉄道線内で使用する自動列車停止装置(M式ATS)を装備した[6]。ATCは受信速照部、継電器部と検査記録部の三部構成で、受信速照部はマイクロコンピュータ2基を二重構造としたデュアルコンピュータ方式としたほか、M式ATSの受信器はCPUを使用したソフトウェア処理を行うME形とした[6]

制御装置PGセンサレスベクトル制御を用いたIGBT素子を用いた2レベルPWM VVVFインバータ制御を採用し[8][4]、インバータ1基で主電動機4台を制御する (1C4M) 車両単位の制御とした[8]。素子の冷却方式は自冷式ヒートパイプ方式で、冷媒には純水を使用する[8]。主電動機は定格出力170kW[注釈 2]かご形三相誘導電動機を採用[8][4]、自己通風式押し込みファンとすることで集排塵効率の向上を図った[8]。駆動装置は3000形・3050形と同様の歯車形軸継手平行カルダン式駆動方式(WNドライブ)とした[8]

制動装置(ブレーキ)遅れ込め制御を有するATC連動回生併用電気指令空気式で、ブレーキ受信装置1台で2両分の常用ブレーキ制御を行うほか、0km/hまで制御する純電気ブレーキを採用している[8]

台車はモノリンク式の空気ばねボルスタレス台車を採用[1]、軸箱に密閉式筒ころ軸受を採用[10]、リンク内と軸ばね内に特殊ゴムを内蔵することで走行性能や振動特性の向上を図った[1]

集電装置(パンタグラフ)は各電動車にPT7164-B型[3]シングルアーム式を搭載した[7]冷房装置は、出力24.4kW (21,000kcal/h) の集約分散式を各車両に2台搭載した[7]。このほか補助送風機としてラインデリアを設置している[4]。補助電源装置は125kVAの3レベルIGBT素子式静止形インバータ (SIV) を採用した[8][4]電動空気圧縮機 (CP) については三相誘導電動機直結式2段圧縮横型直列3気筒式で[4]、1編成で2台搭載した[8]

編成

形式
製造年度 製造
事業所
N3100
(Tc1)
N3200
(M1)
N3300
(M2)
N3400
(T1)
N3700
(M3)
N3800
(Tc2)
機器類 SIV VVVF,CP,PT VVVF,PT   VVVF,CP,PT SIV
自重[1] 日立製 28.1t 32.9t 32.1t 26.3t 32.9t 28.3t
日車製 31.0t 35.6t 34.7t 28.5t 35.7t 31.4t
車両番号 N3101 N3201 N3301 N3401 N3701 N3801 2011年 日立
N3102 N3202 N3302 N3402 N3702 N3802 2012年 日車
N3103 N3203 N3303 N3403 N3703 N3803 2013年
N3104 N3204 N3304 N3404 N3704 N3804 2014年
N3105 N3205 N3305 N3405 N3705 N3805 2015年
N3106 N3206 N3306 N3406 N3706 N3806 2016年
N3107 N3207 N3307 N3407 N3707 N3807
N3108 N3208 N3308 N3408 N3708 N3808 2017年
N3109 N3209 N3309 N3409 N3709 N3809

※車体は、日立製の車両はアルミ車体(A-Train)、日車製の車両はステンレス車体(日車式ブロック工法)。

凡例
  • Tc:制御車
  • M:電動車
  • T:付随車
  • VVVF:制御装置(1C4M)
  • PT:集電装置
  • SIV:補助電源装置(静止形インバータ)125kVA
  • CP:電動空気圧縮機

営業運転開始まで

2011年10月8日から9日にかけてアルミ合金車体のN3101編成が日立製作所笠戸事業所から日進工場に輸送され、試運転を実施し、2012年3月16日から鶴舞線で営業運転を開始した[11]

2012年5月から2015年5月にかけておおよそ1年1編成[12]のペースでステンレス車体のN3102編成[9]、N3103編成、N3104編成、N3105編成が順次落成している。

今後の予定

将来予定されている3000形省令未対応編成の置き換えに合わせ、車両更新が進んでいる。2017年度には2編成が導入された。

製造後の改造など

N3102編成の落成からしばらくして、車体正面の車番表記の位置が中央揃えから下揃えに修正され、2013年7月にワイパーSWが運転台右下から合図ボタンの下に移設された。また、2016年春頃に2015年6月までに1編成ずつ導入された5編成が時刻表立ての小改造を完了している。

脚注

注釈

  1. ^ 左右の客用扉下の靴ずり部分の幅。
  2. ^ 端子電圧1,100V、回転数1,960rpm

出典

※N3101編成とN3102編成以降の車体の異差については「名古屋市調達情報サービス」内の「入札結果」の「平成21年度」および「平成22年度」、申請区分ー「物件の買入/借入」の件名 「高速度鉄道第3号線車両 車体・ぎ装の製造請負」参照。

参考文献

  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局鶴舞線N3000形」『鉄道ジャーナル』第547号、鉄道ジャーナル社、2012年5月、86-89頁。 
  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局N3000形」『鉄道ファン』第612号、交友社、2012年4月、76-81頁。 
  • 諏訪正彦, (名古屋市交通局技術本部車両電気部電車車両課)「名古屋市交通局N3000形」『鉄道ピクトリアル』第861号、電気車研究会、2012年4月、106-110頁。 
  • 「Railway Topics」『鉄道ジャーナル』第545号、鉄道ジャーナル社、2012年3月、146-153頁。「名古屋市交通局がN3000形導入」 

関連項目

他事業者において同一形式または系列内にアルミ車とステンレス車が混在する例を示す。

外部リンク