バソクプロイン
バソクプロイン(英語: bathocuproine、略記:BCP)は、1,10-フェナントロリンの誘導体の1つで、1,10-phenanthrolineの2位と9位の炭素に結合していた水素がメチル基に置換され、4位と7位の炭素に結合していた水素がフェニル基に置換された化合物である。
バソクプロイン | |
---|---|
別称 2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline, 2,9-Dimethyl-4,7-diaphenyl-1,10-phenanthroline
2,9-Dimethyl-4,7-diphenylphenanthroline, 4,7-Diphenyl-2,9-dimethyl-1,10-phenanthroline, BCP | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 4733-39-5 |
PubChem | 65149 |
ChemSpider | 58658 |
UNII | 9THP2V94FX |
EC番号 | 225-240-5 |
ChEMBL | CHEMBL220061 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | C26H20N2 |
モル質量 | 360.45 g mol−1 |
外観 | 淡黄色固体 |
融点 |
283 °C, 556 K, 541 °F |
水への溶解度 | 有機溶媒 |
危険性 | |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 警告(WARNING) |
Hフレーズ | H302, H413 |
Pフレーズ | P264, P270, P273, P301+312, P330, P501 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
特徴
編集物理化学的性質
編集バソクプロインの化学式はC26H20N2であるため、その分子量は約360.5 である。常圧におけるバソクプロインの融点は283 ℃であり、常温では固体として存在する。また、バソクプロインは共役系が複数の環にまたがっており、可視光の一部も吸収する。この結果、常温常圧でバソクプロインは淡い黄色の固体の状態を取る。この固体は、極性を持った有機溶媒に溶解し易い[1]。
配位能
編集1,10-フェナントロリンと同様に、バソクプロインも複素環化合物であり、1位と10位は炭素ではなく窒素である。この部分は芳香族性を有しており、この窒素が持つ孤立電子対は配位結合を行う能力を有する。さらに、窒素の配置の関係で、2つの窒素が持つ孤立電子対で、2箇所から配位結合を提供できる、多座配位子である。加えてバソクプロインの場合には、2つのメチル基が、2つの窒素が有る側に張り出しており、立体的に嵩高い多座配位子としての性質を強めている。
出典
編集- ^ Guosheng Liu, Yichen, Wu (2012). "Bathocuproine". Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis. eEROS. doi:10.1002/047084289X.rn01392. ISBN 978-0471936237。
関連項目
編集- ビピリジン - 特に、2,2'-ビピリジンは、1,10-フェナントロリンと構造的に近い多座配位子である。
- エチレンジアミン - 2,2'-ビピリジンよりも、さらに簡単な構造の多座配位子である。